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シンポジウム

シンポジウム一覧

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テーマ シンポジウムタイトル No
糖質生物学 糖鎖による生体膜近傍の細胞機能制御機構 2S12
糖鎖を中心とした病態生化学 4S22
脂質生物学 リゾリン脂質の新しい機能 1S22
モデル生物を用いた脂質生物学:様々な生物における膜脂質の多様な生物機能 2S22
脂質の新機能 3S12
リン脂質シグナリングと生体膜のダイナミクス 4S12
タンパク質 膜タンパク質研究の最前線 1S5
拡大する品質管理の概念 2S3
遺伝暗号翻訳研究の新たな展開 2S5
シグナル伝達タンパク質の分子認識研究の新展開 3S16
酵母に学ぶ細胞の巧みなストレス適応戦略 3S17
NMR構造生物学ー機能解明へ向けて 3S24
タンパク質分解を介した新たな生理機能 4S3
タンパク質機能発現システムーシャペロンからトランスロケータまで 4S24
酵素、代謝調節、栄養 生命維持に必須な代謝調節機構 1S2
生体のホメオスタシスの維持におけるヘムの役割 2S15
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の新規機能 2S16
レドックス制御とレドックスシグナリング-微生物・植物・動物における研究の融合と展望 3S18
細胞応答 核内受容体研究の最前線 1S11
栄養・代謝・成長から高次機能へ:TOR経路研究の最前線 1S12
低分子量G蛋白による細胞運動と膜輸送の制御 1S26
タンパク質S-ニトロシル化による細胞内シグナリング調節 2S18
細菌情報伝達ネットワークとドラッグデザイン 3S9
トランスポーターが拓く新しい生物システム(細胞応答分野) 3S21
ホスファターゼスーパーファミリーの機能と異常:ゲノムから疾患まで 3S22
蛋白質のリン酸化と細胞応答 4S2
濃度勾配性因子による細胞極性・細胞運動の制御:組織構築、創傷治癒およびがんの浸潤・転移の機構解明を目指して 4S14
転写因子NF-kBの制御機構の破綻と病態 4S15
メカニカルストレスに対する筋・骨格系の応答の分子機構 4S18
イオンチャネルの“機能する姿”の解明に向けて 4S21
細胞の構造と機能 細胞骨格・細胞接着シグナルの個体の組織形成での役割 1S13
細胞死から見た生体反応 1S19
オルガネラダイナミクスー形成・分解と機能制御 1S20
核ー細胞質間輸送と生命機能制御のインターフェイス 1S21
クロマチンを基盤とした遺伝情報の収納と発現 2S4
細胞質分裂を司る多様な分子メカニズム 2S13
膜ドメイン研究の新展開 2S21
細胞内ロジスティクス:病態の理解に向けた細胞内物流システム研究 3S3
細胞骨格の創造から機能発現まで 3S13
細胞周期制御と高次生命現象 3S19
細胞核内ドメインとその生物学的役割 4S10
細胞接着におけるシグナル伝達 4S13
ゲノムと遺伝情報 非コードRNA研究の新領域 1S3
ヒストンコード仮説と生命現象 -現状と将来- 1S4
翻訳後修飾系によるクロマチンの動態制御 1S10
カイコゲノムが拓く新たな生物学 1S17
減数分裂の分子メカニズム 1S24
ライフサイエンス統合データベースプロジェクト 2S9
S期でのゲノム維持ネットワーク 2S10
RNAサイレンシング研究の新局面 2S11
細胞核と染色体のダイナミクス 2S19
比較ゲノムに見る正の自然選択 2S24
生命現象と疾患におけるエピゲノムのプログラミング機構 3S4
時計遺伝子の多彩な機能 3S5
超高速シーケンサーとバイオインフォマティクス 3S8
mRNA 前駆体上に隠されたスプライシング暗号の解読 3S10
転写シグナリングと複合体ダイナミクスの新展開 3S11
ゲノムの安定性と多様化を制御する分子機構 4S4
左右非対称性の分子生物学 4S5
ミトコンドリアゲノムが関連する多様な機能 4S9
染色体サイクルの制御機構 4S11
ストレス応答と転写因子 4S19
哺乳類成立の為の分子基盤 1S16
神経科学 中枢神経細胞の再生と変性の分子メカニズム 1S25
シナプス研究ー分子から個体機能へ 2S25
神経細胞と極性 3S14
統合レチノロジー:網膜の機能的構築の多面的理解 3S15
精神疾患の分子統合的アプローチ 4S25
発生と再生 多能性幹細胞を規定する因子群 -臨床応用を見据えて- 1S1
生殖細胞の発生を制御する分子 1S14
微小管がつかさどる細胞ダイナミクス 1S23
組織幹細胞とニッシェ 2S2
細胞移動が支える器官形成 2S14
細胞外環境による発生・分化の制御 2S23
血球細胞の分化系譜 4S16
システムバイオロジー ネットワークの動的な性質が生み出す生命機能 2S8
メタボロミクスが解き明かす生命のシステム 3S2
動的ネットワーク構造探索の計算イニシアティブ 4S8
疾患生物学 老化と代謝 1S6
毛包・表皮形成とメラノサイト分化のメカニズム 1S7
細胞老化と疾患 2S6
免疫監視機構の破綻と疾患 2S26
骨疾患とシグナル伝達 3S6
神経変性疾患関連遺伝子探索と機能解析 3S25
新たなステージに入ったがんオミクス研究 3S26
感染症研究の新展開 4S6
植物 植物の生体防御と細胞死 2S7
メリステムによる植物発生のダイナミズム 2S20
植物発生における細胞間シグナリング 3S7
最新メタボロミクス事情と植物科学への貢献 4S7
植物の環境適応:その分子生物学的戦略 4S20
バイオテクノロジー 分子生物学からポストナノテクノロジーに向けて 1S8
ナノバイオテクノロジーの新展開 1S9
バイオ燃料生産プロセスに資する分子生物学 -バイオマスリファイナリー統合新時代へ向けて 3S20
ケミカルバイオロジーの展望 3S23
プロテオミクス研究最前線−網羅的タンパク質発現リソースからリバースプロテオミクスへの展開 4S23
生命システムの階層間をまたぐイメージング技術 4S26
その他 分子毒性学の進展 1S15
生命のダイナミズム・不均一性・確率性 〜個体で細胞を「みて」「知る」〜 1S18
アーキアゲノム生物学が与える生命科学研究へのインパクト 4S17

シンポジウム概要


1S1
12月9日(火)8:30-11:30
第1会場(神戸ポートピアホテルポートピアホール3階、ポートピアホール)
多能性幹細胞を規定する因子群 -臨床応用を見据えて-
オーガナイザー:山中 伸弥(京都大学)・江良 択実(熊本大学)
多能性と自己複製能を併せ持つEmbryonic Stem Cell (ES細胞)は、現在、細胞生物学のツールとして大いに活用されており、また、将来の細胞移植治療の資源としても期待されている。このES細胞に多能性幹細胞らしさを付与する実体として特異的転写因子が今日まで多数報告されている。一方、体細胞においてES細胞特異的転写因子の一部の強制発現で、細胞核のリプログラミングを発動させうることが近年明らかとなり、これにより樹立されたinduced Pluripotent Stem Cell (iPS細胞)は、新しい多能性幹細胞として注目を集めている。本シンポジウムでは、ES細胞とiPS細胞における多能性維持因子と多能性誘導因子を比較し、多能性の4次元制御機構の洞察を通じて、両者の相同性・相違性の理解を深める。また、これに立脚し、これらの多能性幹細胞を疾患モデル、創薬・薬理試験系、および細胞移植治療に供する場合、それぞれの可能性・適正について議論する。
1S2
12月9日(火)8:30-11:30
第2会場(神戸ポートピアホテル南館1階、大輪田A)
生命維持に必須な代謝調節機構
オーガナイザー:岩井 一宏(大阪大学)・末松 誠(慶應義塾大学)
生命は食物から種々の分子(栄養素)を取り込み、それらの分子種を生命維持に有用なように代謝して生命活動を維持している。従来、それらの生命に必須な分子種の代謝調節機構は糖、脂質、エネルギーなどそれぞれの分子の研究の範疇で議論されている場合がほとんどであった。しかし、生命活動は種々の分子種の代謝を協調的に調節することによって維持されていることから、それぞれの分子種の代謝を独立して考えるだけでは生命活動を理解することは難しい。そこで本シンポジウムでは種々の分子種の代謝調節研究に従事されている第一線の研究者に加わって頂いて生命維持に必須な分子群の代謝調節を横断的に議論し、生命維持機構としての代謝調節機構を俯瞰的に理解することを目指したい。
1S3
12月9日(火)8:30-11:30
第3会場(神戸ポートピアホテル南館1階、大輪田B)
非コードRNA研究の新領域
オーガナイザー:塩見 春彦(慶應義塾大学)・中川 真一(理化学研究所)
近年のゲノム解析の結果から、たとえば、ヒトゲノムの場合、実に98%以上が蛋白質をコードしていない領域(非コード領域)であり、しかもその大半が転写され、様々な非コードRNAが生み出されていることが明らかになってきた。また、タンパク質をコードしている転写ユニットの数は線虫とヒトを比べた場合でも高々2倍しか変わらないのに比べ、これら非コードRNAが全転写ユニットに占める割合は高等脊椎動物において著しい増加が見られる。このような知見に基づいて、「非コードRNAが様々なレベルで『セントラルドグマ』を修飾することにより、多様性や複雑さを生み出している」、という新しいコンセプトが誕生した。本シンポジウムでは、このコンセプトを検証していくために重要な新しい技術や、これまでのカテゴリーに含まれない新規非コードRNAに焦点を当てた発見を発表し、議論する。
1S4
12月9日(火)8:30-11:30
第4会場(神戸ポートピアホテル南館1階、大輪田C)
ヒストンコード仮説と生命現象 -現状と将来-
オーガナイザー:中西 真(名古屋市立大学)・堀越 正美(東京大学)
生体反応は、酵素反応及び相互作用の集積を通して連携し、それにより細胞の維持・変換に関わる様々な生命現象が引き起こされている。ヒストンの化学修飾を中心とした反応は、生体反応の中でもヒストンテイル領域に約41ヶ所、コア領域に約11ヶ所といったように集中的に行われる特異的状況を呈し、個々の部位でのアセチル化、メチル化、リン酸化、ユビキチン化等の持つ意義、各化学修飾間の連関性、化学修飾を認識し、次の素反応へと伝達するドメインの解析が広く進められている。これらの解析は、当初ヒストンのテイル領域、転写反応やサイレンシング反応で行われていたが、現在はヒストンのコア領域、そして複製、修復反応等にまで及んでいる。また、エピジェネティック制御の中心のひとつであるDNAのメチル化修飾との関連性、更には機能領域特異性を生み出すヒストンバリアントの交換反応との関連性を含め、エピジェネティック機構におけるヒストンの化学修飾の役割の解明も進められている。本シンポジウムでは、核内制御反応の要としてのヒストン化学修飾反応を中心に、日本から世界に発信したオリジナルな研究成果を各研究領域から広く取り上げると共に、ヒストン化学修飾反応から生命現象へと情報が伝達される礎として唱えられたヒストンコード仮説の現状と問題点、そしてその将来について議論する。
1S5
12月9日(火)8:30-11:30
第5会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、トパーズ)
膜タンパク質研究の最前線
オーガナイザー:岩田 想(京都大学)・横山 謙(科学技術振興機構/東京工業大学)
膜タンパク質は、エネルギー変換、物質輸送、情報伝達等の重要な機能を担っている。そのメカニズムの理解は純科学的に重要なだけでなく、医薬的な応用にも直結する。近年構造が解かれた膜タンパク質の数は飛躍的に増加したが、結晶化に適した膜タンパク質の生産技術や、電子線結晶学などの構造解析技術の進展によるところが大きい。詳細な構造情報に基づいた1分子イメージングや分子シュミレーションにより、膜タンパク質によるイオン輸送やエネルギー変換の理解もかなり進んできている。また、薬剤設計に繋がる受容体やトランスポーターの構造解析例もちらほらと出てきている。本シンポジウムでは、イオン輸送性 ATPase, トランスポーター、GPCR等の構造解析を支える基盤技術について述べるとともに、X線もしくは電子線結晶学により新たに解かれた膜タンパク質の構造を紹介する。それとともに、膜タンパク質を対象とした計測技術や分子シュミレーションにより見えてきた輸送機構について俯瞰したい。
1S6
12月9日(火)8:30-11:30
第6会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、サファイア)
老化と代謝
オーガナイザー:伊村 明浩(京都大学)・槇島 誠(日本大学)
「個体老化」の問題を困難にしている原因の一つが、「寿命」や「細胞、臓器の老化病理」としばしば混同されて議論されることにある。時間軸を基準にする捉え方でも、「発生」に比較すると「老化」という概念は、必ずしも明確ではない。しかしながら、「老化」は「ホメオスターシス」が破綻していく状態であることは確からしい。「老化」を「発生」と対極に位置する生物時間プログラムの一過程として、種々の化学的環境要因に対する代謝機構の機能低下の結果として、そして両者が関与する複合的な変化として捉えることで、その本質が浮かび上がってくることを期待したい。本シンポジウムでは、栄養素や電解質などの代謝ホメオスターシスの分子機構と老化との関連性について、代謝環境調節及び遺伝的プログラムの観点から最新の研究をレビューし討論することで、「老化」の本質に迫りたい。
1S7
12月9日(火)8:30-11:30
第7会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、エメラルド)
毛包・表皮形成とメラノサイト分化のメカニズム
オーガナイザー:福田 光則(東北大学)・深見 希代子(東京薬科大学)
毛の形成は美容の対象として、非常に多くの人々に関心を持たれている器官でありながら、その詳細なメカニズムは未解明な部分が多い。また、美白ブームが示す様に肌の白さにも多くの女性が強い関心を示している。毛の形成はバルジと呼ばれる所に存在する皮膚幹細胞が分化して生じるが、その制御には幹細胞の周りの微小環境が深く関係する複雑なシステムである。本シンポジウムでは、別名発毛ホルモンとも呼ばれるBMPシグナル、ヌードマウスの原因遺伝子Foxn1、リン脂質代謝関連酵素等を介した毛包形成のメカニズムを探ると同時に、老化に伴う白髪の発生と色素幹細胞の維持機構の関連についても展開する。一方、肌や毛の色を保つためにはメラノサイトにおけるメラニン色素の合成や輸送も不可欠であることから、本シンポジウムではメラノサイトの機能分化、特にメラノソームの合成や低分子量G蛋白質Rabによる輸送の制御メカニズムについても焦点を当てる。
1S8
12月9日(火)8:30-11:30
第8会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、ダイヤモンド)
分子生物学からポストナノテクノロジーに向けて
オーガナイザー:高岡 裕(神戸大学)・佐野 健一(理化学研究所)
DNAチップに代表されるナノテクノロジー技術は、近年の分子生物学発展に多大な貢献をしたが、逆に分子生物学からナノテクノロジーへの積極的関与を耳にすることは無い。今後のポストナノテクノロジー分野の課題は、原子・分子の自己組織化による構造体構築と機能創製である。これは、例えば生物の発生プロセスで実現されている生命システムそのものであり、分子生物学からナノテクノロジーへの新たな潮流の源になるポテンシャルを秘めている。最近、若手を中心に萌芽的な研究に取り組む胎動が起きており、実際に成果を報告しつつある。そこで本シンポジウムでは、原子・分子の自己組織化による構造体構築と機能創製をキーワードとする。そして、分子生物学・医化学・物理化学・材料科学・情報科学各分野の研究の最前線と、異分野融合研究に取り組んでいる若手研究者の視点から、生物学との融合に向けた取り組みと今後の期待について講演いただく。最後にオープンディスカッションにより、分子生物学の新たな展開とポストナノテクノロジーの交錯は何を明らかするのか、どのような研究を実現するのか、について討論し、分子生物学の新たな可能性を示したい。
1S9
12月9日(火)8:30-11:30
第9会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、ルビー)
ナノバイオテクノロジーの新展開
オーガナイザー:谷口 彰良(物質・材料研究機構)・春山 哲也(九州工業大学)
近年、ナノテクノロジーは急速に広がりを示しており、生化学・分子生物学の分野にも押し寄せて来ている。ナノテクノロジーと細胞工学、組織工学、分子生物学などのバイオテクノロジーが融合したナノバイオテクノロジーは、未知の可能性を秘めた新領域として期待を集めている。ナノテクノロジーを駆使することで、今までin vitroでは作れなかった微小環境の構築が可能になり、細胞や生体分子の機能を制御できるようになりつつある。実際、細胞や生体分子とナノ加工技術を融合した新しい分析手法などが提案されてきている。また、1細胞の機能を観察・測定することも可能になってきている。本シンポジウムではナノテクノロジーをバイオの分野にいち早く取り入れ、斬新な視点で研究を進めている研究者たちに最新の研究成果を発表していただき、会員の方々と有意義な議論をしたいと考えている。
1S10
12月9日(火)8:30-11:30
第10会場(神戸ポートピアホテル本館2階、のじぎく・すみれ・つつじ)
翻訳後修飾系によるクロマチンの動態制御
オーガナイザー:長田 智治(三菱化学生命科学研究所)・益谷 美都子(国立がんセンター)
細胞は分化シグナルや増殖シグナル、ストレスに応答して、クロマチン構造を動的かつ全体的に、また局所的にも変化させる必要がある。様々な翻訳後修飾系は核内で協同的にあるいは相互に干渉しながらクロマチンの動態を巧みに制御していると考えられる。本シンポジウムでは翻訳後修飾系として特にメチル化、アセチル化、SUMO化、ユビキチン化、ポリADP-リボシル化を取り上げ、核内のクロマチン修飾について生化学的側面からの最近の研究成果を紹介し、概観する。さらにこれらの反応が様々な生物種における発生、分化、増殖や疾病発生、ストレス応答におけるクロマチンの動態の制御にどのように関与するかについて、新たな知見を紹介し、分子生物学的側面から生物学および疾病発生機序における重要性を討論する。このような生化学および分子生物学の両視点から翻訳後修飾系によるクロマチンの動態制御を捉え、学問的相互作用の活性化の場とする。
1S11
12月9日(火)8:30-11:30
第11会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、偕楽1)
核内受容体研究の最前線
オーガナイザー:加藤 茂明(東京大学)・諸橋 憲一郎(九州大学)
核内受容体は、48種の異なるメンバーから成り立つ遺伝子スーパーファミリーを形成している。これら受容体は、リガンド依存性転写制御因子として機能し、標的遺伝子群の発現を制御することで、脂溶性リガンドの生理作用を発揮する。そのため、受容体の生体内高次機能が遺伝子破壊動物等で明らかにされ、これらリガンドの生理作用発現の鍵分子であることが証明されている。一方、これらリガンド依存的な転写制御には、染色体の構造調節やエピジェネティックな制御を伴うことが明らかになりつつある。また、ホルモン依存性癌やメタボリックシンドローム等の疾患に対する治療薬としても注目を集めている。本シンポジウムでは、核内受容体の転写制御機能を担う染色体機能調節因子複合体群や、核内受容体タンパクの修飾による機能調節等の、最近の核内受容体研究の進歩を概観したい。
1S12
12月9日(火)8:30-11:30
第12会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、偕楽2)
栄養・代謝・成長から高次機能へ:TOR経路研究の最前線
オーガナイザー:前田 達哉(東京大学)・鎌田 芳彰(基礎生物学研究所)
TOR(target of rapamycin)は、免疫抑制剤/抗癌剤ラパマイシンの標的分子として同定されたプロテインキナーゼで、その構造と機能は真核生物を通じて広く保存されている。いずれの生物においても、細胞が栄養状態に応答して代謝と成長とを制御するための情報伝達経路において枢要な役割を果たしている。TOR経路の研究は、長らくラパマイシンによる阻害効果を元に行われてきたため、ラパマイシン非感受性の機能やTOR自身の活性制御機構の研究は立ち後れていた。最近になって、TORと共に複合体を構成する因子が多数同定され、これらがTORの活性制御やTORの支配する細胞応答に果たす役割が明らかにされつつあり、TOR経路の研究は急展開を迎えている。本シンポジウムでは、酵母から哺乳類に至るTOR経路研究の最新のトピックについて紹介し、研究の広がりと到達点とを踏まえつつ、この重要な経路の全体像に迫りたい。
1S13
12月9日(火)8:30-11:30
第13会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、偕楽3)
細胞骨格・細胞接着シグナルの個体の組織形成での役割
オーガナイザー:扇田 久和(神戸大学)・石崎 敏理(京都大学)
多細胞生物では、個々の細胞が細胞内外のシグナル分子に応答し集団を形成、細胞-細胞間や細胞基質間の相互作用が発揮され、組織が構築される。この相互作用は、単なる物理的な結合でなく、結合に伴って細胞内に新たなシグナルが発生、アクチンを含む細胞骨格や細胞膜に特有の形態が付与されるdynamicな過程であると考えられている。これまで、接着に伴う細胞骨格へのシグナル伝達やそれによって生じる細胞形態の変化は、主にin vitroの細胞培養系を用いて解析され、この過程に関係する分子群やその機能について様々な知見が集積されてきた。しかし、これらが、実際の個体内の組織形成においてどの程度の寄与をなすかは、必ずしも、明らかでなかった。最近、遺伝子改変マウスやin vivo RNAiを用いた実験により、個々の細胞接着分子や細胞骨格調節分子の個体での組織形態の形成での役割とそのメカニズムが明らかになりつつある。そこで、本シンポジウムでは、これら最新の知見を示すとともに、培養細胞でバラバラに見いだされた分子の機能がどのように組み合わされ組織の形成と機能発現に働いているかを論じる。
1S14
12月9日(火)8:30-11:30
第14会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、和楽)
生殖細胞の発生を制御する分子
オーガナイザー:小林 悟(岡崎統合バイオサイエンスセンター/基礎生物学研究所)・松居 靖久(東北大学)
受精卵より生み出された細胞の一部は、ふたたび卵や精子である生殖細胞となり、次代へと生命を継続する。このような特殊な能力を持つ生殖細胞の発生がどのように制御されているのかが本シンポジウムのテーマである。生殖細胞の前駆細胞(始原生殖細胞)の形成と同時に、体細胞への分化が抑制され、次いで生殖巣(生殖腺)へと移動し、その器官の中で配偶子形成を行う。このとき継続した配偶子形成を担う配偶子幹細胞システムが作られる。また、始原生殖細胞の性がどのように決定されるかも大きな問題である。さらに、マウスでは、始原生殖細胞から多能性を持つ胚性生殖幹細胞(EG細胞)が得られることも周知の事実である。しかし、このような過程を制御するメカニズムは十分に明らかになってはいない。本シンポジウムでは、このような問題を取り上げ、ショウジョウバエとマウスを用いた研究の最前線を紹介する。
1S15
12月9日(火)8:30-11:30
第15会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、生田)
分子毒性学の進展
オーガナイザー:熊谷 嘉人(筑波大学)・遠山 千春(東京大学)
生体異物がどのようなメカニズムで人や野生生物に有害な作用を示すかを解明する学問分野である毒性学は、近年のライフサイエンスの学術的および技術的発展を取り込み、分子毒性学として発展している。遺伝子改変マウスの活用により、個体レベルでの分子毒性メカニズム解明も進んでいる。一方、MALDI TOF/MS等の分析技術の進歩により、生体高分子と結合した反応性環境化学物質の修飾部位の同定も可能となり、細胞内の標的分子と毒性発現との関係も明らかにされつつある。化学物質を曝露した動物・細胞を用いて得られた分子毒性学の知見は、特定の化学物質の毒性に関する知見というだけではなく、様々な疾患の成り立ちを解明する上でも極めて重要な情報を提供している。本シンポジウムでは、先端的で活躍されている若手研究者から最新データを紹介していただき、分子毒性学の展望についてディスカッションする場としたい。
1S16
12月9日(火)8:30-11:30
第16会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、布引)
哺乳類成立の為の分子基盤
オーガナイザー:白髭 克彦(東京工業大学)・岡田 典弘(東京工業大学)
爬虫類から哺乳類がどのようにして進化したかを分子レベルで問う事は不可能であると此れまで考えられて来た。ところが最近のゲノム研究の進展により、この事が研究者の視野に入って来たのである。これまで、かなりの哺乳動物のゲノム(ヒト、チンパンジー、マウス、ラット、イヌ、ゾウ、オッポサム)が解読され、外群であるニワトリ、トカゲやカエルや多くの魚類のゲノムと比較が可能になるにつれて、保存された非コード領域(CNEs)が注目を集めている。遺伝子そのものの数には爬虫類と哺乳類で大差のないところから、このCNEに哺乳類が成立した分子基盤が隠されていると考えられる。CNEはある場合には、エンハンサーとして遺伝子の活性化として働き、ある場合にはインシュレーターとして、遺伝子の発現領域の区分に関わると考えられる。このシンポジウムでは、哺乳類とは何かという科学的な説明をした後で、CNEについて解説し、CNEが関わっているクロマチンの発生過程における動態変化についても解説する。
1S17
12月9日(火)8:30-11:30
第17会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、北野)
カイコゲノムが拓く新たな生物学
オーガナイザー:三田 和英(農業生物資源研究所)・嶋田 透(東京大学)
今年2008年にはカイコの全ゲノムの精密配列が公開され,カイコの生物学,そして昆虫の生物学は新たなステージに入ることになる。すでにゲノムが解読されたショウジョウバエやミツバチとは異なり,カイコのゲノムは,昆虫の祖先が持っていた遺伝子配列をよく保存しており,かつ植食性の昆虫として必要な寄主植物の認識や植物毒素への抵抗性などを実現するための分子がコードされている。絹糸タンパク質をはじめとする特定のタンパク質を大量に合成するための巧妙なシステムもゲノムから読み解くことができる。一方で形質転換や遺伝子破壊などの技術も整備されてきており,かつ大量飼育,薬物投与,および手術が容易な大型昆虫であるというメリットを生かせば,新たなモデル生物としての活用が期待される。このシンポジウムでは,カイコゲノム研究の成果を報告するとともに,ゲノム情報を使って新分野を開拓している気鋭の研究者に今後の展望を講演していただく。
1S18
12月9日(火)8:30-11:30
第18会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、菊水)
生命のダイナミズム・不均一性・確率性 〜個体で細胞を「みて」「知る」〜
オーガナイザー:西村 智(東京大学)・今村 健志(癌研究会)
分子生物学は個々の遺伝子機能のin vitro解析から始まり、遺伝子改変動物を用いた各遺伝子のin vivoでの解析へと発展してきた。しかし、遺伝子変化の最終的な結果を捉えるにとどまっていることが多い。特に、慢性炎症を基盤とする動脈硬化・糖尿病・腫瘍等の病態では、組織・細胞機能の構築・機能変化と不均一性を本態とすることから、従来の方法では本質に迫ることが難しい。本シンポジウムでは、生体分子イメージング等の新手法により、個体における複雑な細胞間・分子間相互作用の空間的・時間的ダイナミズムと不均一性・確率性を明らかにする。慢性炎症・担癌病態の本質的な理解をもたらし、遺伝子をターゲットとする還元論的研究に対して、新たな研究のフレームワークを提供する。
1S19
12月9日(火)8:30-11:30
第19会場(神戸国際会議場1階、メインホール)
細胞死から見た生体反応
オーガナイザー:三浦 正幸(東京大学)・長田 重一(京都大学)
細胞死実行にかかわる分子メカニズムが詳しく解明されてきたが、細胞が失われることに対する生体反応は未だ不明な点が多い。細胞社会ではアポトーシス細胞が周りに増殖シグナルを発すること(代償性増殖)やがん細胞のような増殖能に勝る細胞が組織で優位を占めるには周りの細胞がアポトーシスによって除去されることが必要である(細胞競合)。さらにこのようなプロセスへ細胞貪食が積極的に関わることも示されて来た。本シンポジウムでは、細胞死からみた新たな生体制御機構をとりあげ、細胞が生体で失われることの意味に関して考えたい。
1S20
12月9日(火)8:30-11:30
第20会場(神戸国際会議場3階、国際会議室)
オルガネラダイナミクスー形成・分解と機能制御
オーガナイザー:岡 敏彦(九州大学)・阪井 康能(京都大学)
真核細胞は、それぞれ固有の機能を担っている膜コンパートメント、オルガネラを持っている。オルガネラは代謝反応の場を提供しているだけでなく、イオンや二次代謝物の貯蔵や緩衝作用にも寄与している。また、その形は細胞種や外的な環境などにより大きく変化し、特徴的な形態をとる。オルガネラを構成するタンパク質は、リボソームで合成後に、直接または分泌経路を介して標的のオルガネラへと運ばれる。間違って運ばれたり、正しい機能を獲得出来なかったタンパク質は、各オルガネラの認識・分解機構により積極的に排除される。この品質管理の機構はオルガネラの機能維持に取って重要であり、近年ではオルガネラ自身の分解を介した細胞機能制御にも注目が集まっている。本シンポジウムでは、微生物・動物・植物の幅広い分野から様々なオルガネラの形成・分解・機能制御に関する興味深い話題を提供して頂き、活発な討議を行う。
1S21
12月9日(火)8:30-11:30
第21会場(神戸国際会議場4階、401+402)
核ー細胞質間輸送と生命機能制御のインターフェイス
オーガナイザー:米田 悦啓(大阪大学)・大野 睦人(京都大学)
核と細胞質は、核膜という2層の脂質二重層で隔てられているため、核―細胞質間の物質流通は、核膜に存在する核膜孔を介して行われる。蛋白質やRNAの輸送に関わる輸送因子や、核膜孔複合体構成因子(ヌクレオポリン)の構造と機能がかなり解明され、輸送メカニズムの理解は進んだ。一方、核輸送因子として同定されたimportinα、importinβ、低分子量GTPase Ranが細胞分裂時にも重要な機能を果たしていることがわかってきたり、細胞分化において、転写因子と密接に関係しながら、核輸送因子が重要な役割を担っているといったことが明らかになってきた。本シンポジウムでは、核―細胞質間物質輸送の視点から様々な生命機能を捉えたり、核輸送因子を指標にした解析から明らかになってきた生命現象のメカニズムの一端について議論し、核―細胞質間輸送と生命機能の接点を探る。
1S22
12月9日(火)8:30-11:30
第22会場(神戸国際会議場5階、501)
リゾリン脂質の新しい機能
オーガナイザー:徳村 彰(徳島大学)・青木 淳賢(東北大学)
近年リゾホスファチジン酸(LPA)、スフィンゴシン1リン酸(S1P)、2-アラキドニルグリセロール(2-AG)などのリゾリン脂質の機能に注目が集まっている。これらは、リン脂質に由来する生理活性脂質の一種であり、GPCRを介し多彩な生理活性を示す。また、現在創薬の重要なターゲットとなっている。これら第2世代のリゾリン脂質に加え、最近では、ホスファチジルセリン(LPS)、リゾホスファチジルイノシトール(LPI)、リゾホスファチジルエタノールアミン(LPE)、リゾホスファチジルスレオニン(LPT)等の新規性の高いリゾリン脂質もまた、生体内の重要な生理活性脂質であることが判明しつつある。本シンポジウムでは、日本人研究者の貢献度が極めて高いリゾリン脂質の分野において世界的に活躍する研究者に最新の研究成果も含め講演いただく予定である。
1S23
12月9日(火)8:30-11:30
第23会場(神戸国際会議場5階、502)
微小管がつかさどる細胞ダイナミクス
オーガナイザー:杉本 亜砂子(理化学研究所)・大浪 修一(理化学研究所)
微小管は細胞の分裂・極性形成・形態変化などのダイナミックな状態転換を引き起こすのに重要な役割をはたしている。このような複数のはたらきを(あるときは併行して)精確に実施するためには、微小管動態は細胞内で時空間的に厳密に制御されなければならない。微小管の生化学的・生物物理学的研究の歴史は長いが、微小管動態を細胞・個体レベルの現象と結びつける研究は、ライブイメージング技術の進歩やモデリングの適用などの新たなアプローチによって、近年になって飛躍的に進展してきた。本シンポジウムでは酵母・植物・動物それぞれの系において微小管がつかさどる生命現象を解析している研究者の最新の成果を紹介し、本分野の現状と展望を多角的に議論する。
1S24
12月9日(火)8:30-11:30
第24会場(神戸国際会議場5階、503+504+505)
減数分裂の分子メカニズム
オーガナイザー:篠原 彰(大阪大学)・渡邊 嘉典(東京大学)
配偶子形成に必須の役割を果たす減数分裂は体細胞分裂とは異なり、DNA複製後、染色体の分配を2回連続して行うことで、ゲノム量を半減することで、世代間のゲノムの2倍性を維持する。減数分裂の破綻はゲノムの不安定化を産み出し、ヒトでは流産やダウン症に代表される異数体病を誘発する。減数分裂においては、体細胞分裂期に見られない、多数の複雑な細胞周期、染色体構造、染色体分配の制御がゲノムの半減化を促進する。その分子基盤は近年急速に解明され、減数分裂期の研究のみならず、エピジェネテックスなどの様々な分野から注目されている。本シンポジウムでは、体細胞分裂と比較を含め、減数分裂についての最新の知見についての講演を通し、この分野の将来の展望への議論を深めたい。
1S25
12月9日(火)8:30-11:30
第25会場(神戸国際展示場2号館2階、2A会議室)
中枢神経細胞の再生と変性の分子メカニズム
オーガナイザー:山下 俊英(大阪大学)・荒木 敏之(国立精神・神経センター)
これまで損傷した中枢神経回路は再生しないと考えられてきたが、成体においても神経回路を修復させるポテンシャルを有していることが明らかになってきた。傷ついた神経ネットワークが再生するためには、軸索の伸展と誘導、シナプス形成、不要なシナプスの除去および軸索の変性など、再生に至る一連のステップが適切に行われなければならない。これらの現象を制御するメカニズムが徐々に解明されつつある。神経回路の修復現象は決して神経発生の繰り返しではなく、空間的な広がりをもつ独特のダイナミックな再編成であり、多様な外的要因・細胞内現象の影響をうけている。こうしたメカニズムに関する研究の成果は、変性疾患治療や老化抑制にも応用できる可能性がある。本シンポジウムでは神経回路の修復機構の分子メカニズムについての最近の研究成果を示し、神経系の修復戦略について洞察を得たい。
1S26
12月9日(火)8:30-11:30
第26会場(神戸国際展示場2号館3階、3A会議室)
低分子量G蛋白による細胞運動と膜輸送の制御
オーガナイザー:松田 道行(京都大学)・匂坂 敏明(神戸大学)
低分子量G蛋白は、細胞の増殖、形態、運動、接着など様々な事象を制御している。この分野の最近のトピックの一つは、RasファミリーG蛋白の細胞内での機能である。中でも待望されて久しいRal不活性化因子(Ral GAP)のクローニングがついに成功し、Ralの小胞輸送に関わる機構が解明されたのは大きな成果である。Rap1の細胞内でのシグナリング機構やRabファミリーG蛋白質による細胞接着分子の輸送制御を介した細胞接着形成機構の研究も着実に進んでいる。一方、イメージング技術のこの分野への応用も見逃すことができない。細胞が浸潤する過程の二光子レーザー顕微鏡を用いた観察により、がん細胞浸潤におけるRhoファミリーG蛋白の役割がより具体的に明らかにされつつある。さらに、FRETイメージング技術により、貪食過程でのG蛋白の制御機構が時空間的に把握されるようになった。各シンポジストには、進歩を続ける低分子量G蛋白研究の最新の成果を発表していただく。
2S2
12月10日(水)8:30-11:30
第2会場(神戸ポートピアホテル南館1階、大輪田A)
組織幹細胞とニッシェ
オーガナイザー:吉田 松生(京都大学)・長澤 丘司(京都大学)
哺乳動物の多くの臓器・組織に組織幹細胞が存在することがわかってきた。組織幹細胞は、組織を構成する複数種類の細胞を生み出す多分化能と半永久的な自己複製能とを併せ持ち、生涯にわたり一定数維持され、組織の維持、傷害よりの再生に重要な役割を果たしている。組織幹細胞は、生体内ではニッシェと呼ばれる特別な微小環境で維持されると想定されてきたが、その実体は長年不明であった。しかし、近年、哺乳類の組織幹細胞ニッシェやその機能を担う分子の姿が捉えられつつあるところまで研究が進んできた。また、がん研究で注目されているがん幹細胞も組織幹細胞ニッシェで保護され薬剤耐性を獲得している可能性が出てきている。本シンポジウムでは、気鋭の研究者による世界的な知見をもとに、組織幹細胞ニッシェの実体とその機能について考察する。
2S3
12月10日(水)8:30-11:30
第3会場(神戸ポートピアホテル南館1階、大輪田B)
拡大する品質管理の概念
オーガナイザー:遠藤 斗志也(名古屋大学)・稲田 利文(名古屋大学)
細胞内でタンパク質は,互いに協力しあって自律的でロバストなシステムとしての「タンパク質社会」を作っている。このタンパク質社会には,集団全体の機能と秩序を保つために,構成員の構造や局在をモニターし,有害な不良品を速やかに発見し,その異常がシステム全体に及ぶのを防ぐ「品質管理機構」が備わっている。最近の研究から,品質管理を担う危機管理プログラムは従来考えられていた以上に巧妙かつ複雑で,細胞全体規模にわたるものであることが分かってきた。異常処理にあたる各因子の作動機構や連携の仕組みが解明されるとともに,従来見落とされていたレドックス状態との関係や,酵母プリオンのように<異常=有害>という概念の見直しを迫る知見も得られつつある。本シンポジウムでは,こうした品質管理研究のフロンティアの話題をとりあげ,今後のこの分野の研究展開の行方を見渡した議論をしたいと考えている。
2S4
12月10日(水)8:30-11:30
第4会場(神戸ポートピアホテル南館1階、大輪田C)
クロマチンを基盤とした遺伝情報の収納と発現
オーガナイザー:深川 竜郎(国立遺伝学研究所)・大山 隆(早稲田大学)
ゲノムに包括される遺伝情報が正確に次世代へ伝達されることは、生物にとって必須の要件である。そのためには、遺伝情報を細胞核内に機能的に収納し、必要に応じて効率的に発現する必要がある。この遺伝情報の収納と発現制御には、クロマチンが大きく関わっており、近年クロマチン構造の理解により、多くの生命現象が理解されてきている。本シンポジウムでは、ゲノム全体のクロマチンの動態、クロマチンを介した遺伝子発現制御機構、セントロメア・テロメアあるいはヘテロクロマチンなどゲノムの特殊領域に特化したクロマチン機能構造の意義、発生・分化過程におけるクロマチンの変化とその生物学的意義など、クロマチンを基盤とした、ゲノムおよび遺伝子収納の分子機構ならびに遺伝子機能の制御機構について多面的に議論する。
2S5
12月10日(水)8:30-11:30
第5会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、トパーズ)
遺伝暗号翻訳研究の新たな展開
オーガナイザー:濡木 理(東京大学)・冨田 耕造(産業技術総合研究所)
遺伝暗号の翻訳(タンパク質の生合成)は、大腸菌からヒトに至るまで共通した生命に基本的な現象である。 Nirenbergらがin vitro蛋白質合成系を用いて遺伝暗号解読の研究を始めて以来47年の年月が経った。その間、立体構造解析技術の革新やゲノム解析・ポストゲノム解析の躍進の結果、リボソームの様々な状態の構造が解明されたり、新たな遺伝暗号翻訳のしくみや分子進化機構が明らかになってきた。本シンポジウムでは、単に形を見るだけの博物学的な構造研究とは異なり、ダイナミックな構造からいかにして「正確な遺伝暗号の翻訳」という機能が発現するのかを解き明かす構造生物学者とポストゲノム解析を基盤に遺伝暗号翻訳の研究に新たな潮流を引き起こす機能生物学者が一堂に会して最新の研究成果を発表し、遺伝暗号翻訳研究の新たな展開をめざす。
2S6
12月10日(水)8:30-11:30
第6会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、サファイア)
細胞老化と疾患
オーガナイザー:原 英二(癌研究所)・小室 一成(千葉大学)
真核生物の細胞は細胞の内外から受ける様々なストレスに応答してその表現形を変化させる。特に哺乳動物細胞の場合、過度な細胞分裂の繰り返しや癌遺伝子の発現などの異常が起こると、細胞周期が不可逆的に停止して細胞分裂能を喪失することが知られている。この現象は「細胞老化」と呼ばれ、古くから個体老化や癌抑制に関与している可能性が指摘されてきた。一方で、細胞老化の研究はこれまで主に培養細胞を用いて行われてきたため、細胞老化が生体内でも起こる現象かどうか疑問視されてきた。しかし最近、細胞老化の分子メカニズムの解明が進み、細胞老化が細胞の内外から受ける様々なDNA障害性ストレスにより誘導される現象であることが示され、生体内でも十分起こりうることが明らかになってきた。本シンポジウムでは細胞老化の生体内での役割、特に「疾患との係わり」について最先端の研究を紹介する。本シンポジウムを通して疾患克服のためのターゲットとしての細胞老化の可能性を探りたい。
2S7
12月10日(水)8:30-11:30
第7会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、エメラルド)
植物の生体防御と細胞死
オーガナイザー:川合 真紀(東京大学)・朽津 和幸(東京理科大学)
自らの移動の手段を有さない植物は、環境の変化に速やかに応答し適応するために生体防御機構を獲得してきたと考えられる。種々の環境変化に応答して引き起こされる活性酸素誘導性細胞死や病原体に対する自然免疫応答にみられる過敏感細胞死など、植物の自律的な細胞死は生命現象の根幹を構成する現象の1つとして認識され、シグナルネットワークや制御・実行の分子機構の解明が進められている。植物特有のオルガネラである液胞や葉緑体、ミトコンドリア、細胞膜など、細胞内オルガネラネットワークが様々な高次機能制御を受け、植物細胞の生死が運命づけられる。数多くの優れた研究成果が国内から発信されているが、これまで本分野の研究者が一同に介する場や、動物のアポトーシス/プログラム細胞死の研究者との学際的な討論の場は、ほとんど設けられて来なかった。本シンポジウムでは、国内の本分野の研究者を幅広く集め、植物細胞死の多様性とその高次機能について議論する場としたい。
2S8
12月10日(水)8:30-11:30
第8会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、ダイヤモンド)
ネットワークの動的な性質が生み出す生命機能
オーガナイザー:黒田  真也(東京大学)・近藤 滋(名古屋大学)
生命現象に限らず自然科学一般の現象は、関与する要素(分子)の同定やその機能の解析に加え、そのネットワークの相互作用に生み出される「動的な特性」から、その背後に潜む「原理」を明らかにすることにより初めて「システム」として理解される。本シンポジウムでは、分子ネットワークが持つ「動的な特性」とその「原理」にフォーカスした研究を紹介することにより「システムとしての生命現象」に迫ることを試みる。
2S9
12月10日(水)8:30-11:30
第9会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、ルビー)
ライフサイエンス統合データベースプロジェクト
オーガナイザー:高木 利久(情報・システム研究機構ライフサイエンス統合データベースセンター/東京大学)・大久保 公策(国立遺伝学研究所)
ゲノムプロジェクトの進展を契機として、いまやデータベースはライフサイエンスの発展に必要不可欠な知的基盤となった。しかしながら、利用者からは「必要なデータベースが見つからない」「使い方がよくわからない」など不便を訴える意見も多く、データベースを効率よく利用するための環境整備は充分ではない。また、ここ10年ほど多くの大型国家プロジェクトが実施されているが、これらはデータベースに格納すべきデータを産出することを目的としているともいえるが、その成果は必ずしも一般の研究者に行き渡るようにはなっていないなどの問題もある。これらの問題を解消するために、平成19年度より統合データベースプロジェクトが始まった。また、その実施機関として情報・システム研究機構に統合センターが設立された。このシンポジウムでは、文科省での取り組みを中心にそれらの活動を紹介するとともに、我が国のライフサイエンスの振興に真に必要なデータベースはどういうものかその姿を探る。
2S10
12月10日(水)8:30-11:30
第10会場(神戸ポートピアホテル本館2階、のじぎく・すみれ・つつじ)
S期でのゲノム維持ネットワーク
オーガナイザー:石川 冬木(京都大学)・升方 久夫(大阪大学)
ゲノム複製は、単なるゲノムDNA全体にわたるDNA合成反応をさすのではなく、子孫への正確な遺伝情報の伝達を担う複合反応として理解されるべきである。DNA複製反応は、細胞周期あたり1回だけ、複製フォークの進行が停止しやすいヘテロクロマチンを含め全ゲノムについて完全に行われる必要がある。さらに、ゲノム複製は、DNAのみならず蛋白質などを含むクロマチン全体の再生産であり、次におこるべき染色体分配の準備段階でもある。そのため、DNA複製反応は、DNA修復、組換え、姉妹染色分体接着、テロメレース反応、チェックポイント機構などのさまざまなDNA代謝反応と密接に関連しながら進行する。本シンポジウムでは、S期において、DNA複製反応を中核として種々の反応がいかに協調してゲノムの維持・複製に貢献するのかを、酵母、カエル、ほ乳類などのモデルシステムを用いて解析している研究者が最近のデータを発表し討議する。
2S11
12月10日(水)8:30-11:30
第11会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、偕楽1)
RNAサイレンシング研究の新局面
オーガナイザー:塩見 美喜子(慶應義塾大学)・泊 幸秀(東京大学)
二本鎖RNAによって引き起こされる遺伝子発現抑制機構を総称してRNAサイレンシングと呼ぶ。RNAサイレンシングは、酵母からヒトにわたる多くの生物種で高く保存されており、生物におけるRNAサイレンシングの必然性を強く示唆する。RNAサイレンシングの代表例は、siRNAを介したRNAiや、miRNAを介した翻訳抑制機構/mRNA分解機構であるが、これらの分子メカニズムの解明に向けた研究を通して、近年、piRNAと呼ばれる一群の小さなRNAの存在、そしてpiRNAのRNAサイレンシングへの関与が明らかとなってきた。また、miRNAが介在する遺伝子発現制御機構には、遺伝子発現を負にのみならず、正に方向付ける経路がある事も次第に判ってきた。本シンポジウムでは、RNAサイレンシングに関わる新規RNAの発見、その生合成や機能、新規遺伝子発現制御経路等に関する最新の研究内容を取り上げ、議論する予定である。
2S12
12月10日(水)8:30-11:30
第12会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、偕楽2)
糖鎖による生体膜近傍の細胞機能制御機構
オーガナイザー:古川 鋼一(名古屋大学)・木下 タロウ(大阪大学)
糖鎖生物学の飛躍的な進展により、種々の複合糖質分子の意義の理解が大きく前進した。糖鎖遺伝子による細胞糖鎖のリモデリングや糖鎖遺伝子ノックアウトに基づく細胞や個体レベルの解析により、糖鎖の様々な生物学的過程における役割が明らかになってきた。しかしながら、多様性に富む個々の糖鎖構造が具体的に機能を発揮する分子機構については、まだ十分に解明されたとはいえない。多くの糖鎖化合物が細胞膜表面に発現されて、その近傍における様々な分子と相互反応を営むことにより、惹起され伝達されるシグナルの質と量が決定されるが、多くの分子間相互作用は細胞膜の内外の界面で遂行される。しかし、その実験的な再現は容易ではなく、詳細な解析が困難な課題である。本シンポジウムでは、複合糖質分子が、シグナル伝達、エンドサイトーシス、細胞外分泌等において、細胞膜等の生体膜近傍で果たす役割の分子機構に迫るいくつかの先駆的研究を集め、その展開の可能性を探りたい。
2S13
12月10日(水)8:30-11:30
第13会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、偕楽3)
細胞質分裂を司る多様な分子メカニズム
オーガナイザー:駒田 雅之(東京工業大学)・中野 賢太郎(筑波大学)
細胞質分裂は細胞骨格、メンブレントラフィック、シグナル伝達、ユビキチン化など多彩な細胞機能が協調した動的プロセスである。細胞質分裂で働く様々なタンパク質は中央部紡錘体と呼ばれる微小管束によって分裂部位にリクルートされ、そこからシグナルを発信する。動物細胞では、分裂溝のくびれの進行には収縮環と呼ばれるアクチン繊維が重要な役割を果たしている。またゴルジ体やリサイクリングエンドソーム由来の膜小胞の融合は分裂部位への膜成分の供給を担い、後期エンドソソームの内部小胞くびり切りの機構は2つの娘細胞の切り離しに用いられている。近年、酵母、動物、植物など多様なタイプの細胞における細胞質分裂の分子機構の解明が急速に進んでおり、それらを統一的に理解することの重要性が高まっている。そこで本シンポジウムでは異なったシステム、アプローチから明らかになってきた細胞質分裂の最新の知見を取り上げ、互いに議論を深めたい。
2S14
12月10日(水)8:30-11:30
第14会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、和楽)
細胞移動が支える器官形成
オーガナイザー:高橋 淑子(奈良先端科学技術大学院大学)・澤本 和延(名古屋市立大学)
動物の体のなかでは、さまざまな細胞が長距離をダイナミックに移動する。このような細胞移動は、初期発生、血管を含めた器官形成、神経系ネットワークの確立、生殖などに必須である。また成体においても、損傷した組織の再生過程に深く関わっている。これまでの細胞移動に関する研究の多くは、試験管内における細胞の運動・移動能に焦点が当てられていたが、本シンポジウムでは生体内での細胞移動の分子制御とその発生生物学的意義にフォーカスを当てる。予定しているスピーカーはいずれも国際トップレベルのオリジナルな研究を展開しており、トピックスとしては、ショウジョウバエにおけるBorder Cellの移動制御、ゼブラフィッシュ始原生殖細胞の移動とケモカインの役割、神経冠(堤)細胞の移動と末梢神経ネットワーク、脳内での神経細胞の移動などが含まれる。
2S15
12月10日(水)8:30-11:30
第15会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、生田)
生体のホメオスタシスの維持におけるヘムの役割
オーガナイザー:古山 和道(東北大学)・竹谷 茂(京都工芸繊維大学)
ヘム(プロトヘム)はほとんど全ての細胞の機能維持に必須の分子で、様々な酵素の補酵素として機能し、あるいは酸素と結合してその運搬や貯蔵に関わっている。これらの機能に加えて、鉄代謝との相互作用や転写・翻訳の調節、さらには糖代謝や慨日変動の調節などに直接関わる事が近年明らかにされた。また、過剰なヘムは酸化ストレスの原因となる一方、ヘムの分解産物は酸化ストレスに対して防御的に働くため、ヘム分解の律速酵素であるヘムオキシゲナーゼと酸化ストレスとの関係も注目を集めている。このように、ヘムは様々な場面において異なる機能を発揮する事により、生体のホメオスタシスの維持に広く関わっていると考えられる。そこで、本シンポジウムでは、最近明らかにされたヘムの機能に焦点をしぼって新たなるヘムの役割を探究する事で、生体のホメオスタシスの維持におけるヘムのダイナミックな役割を浮き彫りにする事を目的とする。また、本シンポジウムは、この分野の日本人研究者にも大きな影響を与えた世界的なヘム研究の第一人者で、本年1月に急逝された米国ロックフェラー大学・佐々茂名誉准教授の追悼シンポジウムを兼ねて開催したい。
2S16
12月10日(水)8:30-11:30
第16会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、布引)
マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)の新規機能
オーガナイザー:宮崎 香(横浜市立大学)・佐藤 博(金沢大学)
これまでに、がんの浸潤・転移に関与するメタロプロテアーゼの働きが注目され、多種のマトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs)やADAMsが発見された。当初、その細胞外マトリックス分解活性が大きく注目されたが、近年それに加えて細胞膜近傍でのプロテアーゼの働きが細胞機能の調節や病気の発症に重要な役割を果たすことが明らかになってきた。膜上には、MT-MMPs、ADAMsなどの膜結合型酵素に加え、一部の分泌型酵素も結合する。これらのメタロプロテアーゼは細胞膜上の接着分子や、増殖因子の前駆体あるいは受容体を標的とし、それらの切断により細胞の接着、移動、増殖、分化、細胞死などを調節する。例えば、MMP-7は膜上でHB-EGF/ErbB4系やNotchシグナル系を活性化し、がん化を促進する。この分野は国内の研究者が重要な貢献をした分野であり、現在もMMPsの新しい作用機構が明らかにされつつある。本シンポジウムでは、特にMMPsの細胞膜表面やその近傍での新規作用と細胞機能の調節機構におけるその意義について議論する場とし、この分野の今後の研究の発展に貢献したい。
2S18
12月10日(水)8:30-11:30
第18会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、菊水)
タンパク質S-ニトロシル化による細胞内シグナリング調節
オーガナイザー:黒瀬 等(九州大学)・赤池 孝章(熊本大学)
細胞内でのシグナル伝達のメカニズムとして、タンパク質のリン酸化・脱リン酸化は広く知られている。リン酸化・脱リン酸化ではタンパク質のセリン、スレオニン、チロシンが修飾される。近年、リン酸化・脱リン酸化で修飾されるアミノ酸とは異なるシステインの修飾によるシグナリングが注目されている。ガス状メディエーターの一酸化窒素(NO)がシステインを修飾し(タンパク質のS-ニトロシル化・脱ニトロシル化)、タンパク質の活性を調節していることが示されている。本シンポジウムでは、新たなシグナリングのメカニズムとして認識されつつあるタンパク質のS-ニトロシル化を紹介する。例として、シャペロンタンパク質のS-ニトロシル化と精神疾患、転写因子のS-ニトロシル化を介した受容体発現量の調節、細胞内シグナリング分子のS-ニトロシル化と心疾患、KチャネルとTRPMチャネルのS-ニトロシル化などを取り上げる。さらに、最近、NOと活性酸素による新規タンパク質システイン修飾S-グアニル化(Cys-cGMP付加)が発見された。興味あることに、このタンパク質システイン修飾は、ニトロシル化と密接に連関しながら細胞内レドックスシグナルを制御していることが明らかになった。
2S19
12月10日(水)8:30-11:30
第19会場(神戸国際会議場1階、メインホール)
細胞核と染色体のダイナミクス
オーガナイザー:橋 考太(久留米大学)・木村 宏(大阪大学)
真核生物の染色体は、生命の設計図であるDNAを安定に収納し子孫に正確に伝える“伝達装置”であり、また様々な遺伝子を環境の変化に対応させてダイナミックに機能発現させる“制御装置”である。染色体は細胞核に包まれ、細胞周期の進行に従ってその形態や機能を変化させ、細胞の内外と情報交換しながら、自己を複製し分配している。本シンポジウムでは、細胞核と染色体をキーワードとして、その構造と機能をダイナミクスの視点から捉えた分子生物学的研究の最前線を概観したい。クロマチン機能、染色体ドメイン構造、染色体分配機構、核と細胞骨格の相互作用などのトピックから話題を厳選し、転写とエピジェネティクス、ゲノム維持、細胞分裂、染色体進化などの多面的な生命現象のダイナミズムに切り込もうとする野心的な研究成果を紹介する。
2S20
12月10日(水)8:30-11:30
第20会場(神戸国際会議場3階、国際会議室)
メリステムによる植物発生のダイナミズム
オーガナイザー:荒木 崇(京都大学)・町田 泰則(名古屋大学)
植物の発生は、すべて、メリステムと呼ばれる幹細胞を含む細胞集団の増殖と分化によっている。本シンポジウムでは、茎頂メリステムと根端・側根メリステムの発生と維持、茎頂メリステムにおける器官形成、茎頂メリステムの相転換などを調節するシグナル分子(植物ホルモン、低分子量RNA、ペプチド、蛋白質)とそれらによる情報統御機構に関する最近の研究動向を紹介する。
2S21
12月10日(水)8:30-11:30
第21会場(神戸国際会議場4階、401+402)
膜ドメイン研究の新展開
オーガナイザー:藤本 豊士(名古屋大学)・小林 俊秀(理化学研究所)
脂質を基盤として膜ドメインができるというラフト仮説は生物学に大きなインパクトをもたらした.脂質だけでできるドメインが本当に生体膜にあるのかという根本的な疑問を含め,膜ドメインの実態に関する論争はまだ継続中だが,もはや誰も脂質の関与を考えずに種々の現象を説明できると思わなくなったことは確かだろう.このような状況を踏まえて,膜ドメインをどう解析し,どう理解していけばよいのだろうか.膜ドメイン研究では用いる研究方法が非常に重要であり,その違いによってラフト仮説に対する見方が大きく変わる.このセッションではいろいろな方法を用いて膜ドメインそのものを研究する,あるいは膜ドメインに関わる現象を解析する研究者にご講演をお願いした.「ラフト仮説以降」の膜ドメインをどう捉えるかについて何らかの展望が開けることを期待したい.
2S22
12月10日(水)8:30-11:30
第22会場(神戸国際会議場5階、501)
モデル生物を用いた脂質生物学:様々な生物における膜脂質の多様な生物機能
オーガナイザー:梅田 真郷(京都大学)・新井 洋由(東京大学)
生物は、その進化の過程で様々なタンパク質を生み出してきたが、脂質分子もタンパク質と同様にその化学構造の多様化を遂げて来ている。実際、哺乳動物の生体膜を構築する脂質分子は3万種類以上にも及ぶことが最近の脂質メタボローム解析により明らかとなってきた。一方、様々な生物種を構成する脂質分子についての情報も蓄積されつつあり、膜脂質の構造や組成が生物種により大きく異なることが明らかになっている。このような膜脂質の多様化は、進化に伴うタンパク質の構造や機能の多様化に伴い、その働く場である膜環境も多様性を獲得して来たことを意味している。本シンポジウムでは、膜脂質と膜タンパク質の相互作用に着目して、様々なモデル生物を用いて脂質の生物機能に迫る最先端の研究を紹介したい。これらの研究は、従来の遺伝子や蛋白質の研究のみでは十分に説明出来ない様々な生物学上の問題を新たな視点から捉えるものであり、高等動物における脂質機能ならびにその疾患との関わりを理解する上でも有用な知見を提供することが期待される。
2S23
12月10日(水)8:30-11:30
第23会場(神戸国際会議場5階、502)
細胞外環境による発生・分化の制御
オーガナイザー:西脇 清二(関西学院大学/理化学研究所)・関口 清俊(大阪大学)
細胞外環境は細胞が細胞外マトリックス、シグナル分子、プロテアーゼなど様々な分子を分泌することにより形成されるが、形成された細胞外環境は逆に細胞に働きかけ分化や形態形成運動を含む様々な細胞応答を引き起こす。細胞外環境と細胞は発生過程で互いに影響し合い、このような相互作用の中で正確な組織や器官の構築が達成される。そのため細胞外環境を構成する分子の機能は単純な培養細胞系での研究が困難であり、個体あるいは器官としてのコンテキストの中で理解する必要がある。近年の種々の動物におけるゲノム解明とノックアウトや分子イメージングなどの技術の進歩により、細胞外環境の機能解明に向けた研究が盛んになってきた。本シンポジウムでは発生・分化における細胞外環境の機能に焦点をあて、先端的な研究を展開されている研究者に講演をお願いし、細胞外環境研究の近未来像を探る。
2S24
12月10日(水)8:30-11:30
第24会場(神戸国際会議場5階、503+504+505)
比較ゲノムに見る正の自然選択
オーガナイザー:五條堀 孝(国立遺伝学研究所)・鈴木 善幸(国立遺伝学研究所)
生物の進化において自然選択がどれほどの役割をはたしてきたのかを知ることは、現代進化学における重要な課題の一つである。近年、さまざまな生物種についてのゲノム情報が蓄積されてくるにしたがい、配列情報からゲノムワイドに自然選択を検出するための分子進化学的・集団遺伝学的手法が開発され、実際のデータ解析から正の自然選択が働いた蛋白質コード・非コード領域が明らかにされてきている。また、これらの領域についてはどのような機能的変化が生じ、選択されてきたのかが分子生物学的な実験によって検証されるようになってきた。本シンポジウムにおいては、ゲノム情報解析ならびに実験的検証による正の自然選択研究の過去と現在についてご講演いただき、未来について考える。
2S25
12月10日(水)8:30-11:30
第25会場(神戸国際展示場2号館2階、2A会議室)
シナプス研究ー分子から個体機能へ
オーガナイザー:岡部 繁男(東京大学)・能瀬 聡直(東京大学)
シナプスは神経細胞間の情報伝達の要となる構造である。シナプスの形成と発達に関与する様々な分子群が既に同定され、その動的な振る舞いと神経活動による制御について多くの知見が得られている。生後発育に伴う経験依存的な脳機能の変化や記憶・学習の基礎となるシナプスの機能および構造の改変についても、最近の研究成果によって分子および神経回路レベルの知見と個体レベルでの解析がつながりつつある。このような統合的な研究の進展には、様々なモデル動物を利用した研究を、ヒトを含む哺乳類の脳研究に結び付ける努力も重要である。更にシナプスの生理機能の理解は神経変性疾患や精神疾患などの病態解明においても必須の情報を提供する。本シンポジウムでは様々な実験系を用いて、シナプスの機能分子と個体機能を結びつけることを目指した研究を紹介し、今後のシナプス研究の方向性と可能性を議論する場を提供したい。
2S26
12月10日(水)8:30-11:30
第26会場(神戸国際展示場2号館3階、3A会議室)
免疫監視機構の破綻と疾患
オーガナイザー:岡ア 拓(京都大学)・堀 昌平(理化学研究所)
免疫監視という概念は、Burnetが1960年代に提唱した「癌細胞に対する免疫系による監視」という仮説に始まったが、現在では、免疫系による個体の恒常性維持に関わるsecurity system全般を意味するものと考えられている。免疫監視システムの変調・異常や成熟にともなう減弱は、多様な外的および内的因子に対する生体防御の破綻(例えば潜伏感染、慢性感染症あるいは癌の発生と進展)のみならず、免疫系自体に起因する多くの難病(アレルギーや自己免疫病)の発生に、直接に結びつくものである。近年、これらの疾患は増加傾向にあり、原因の解明と克服が急務とされている。本シンポジウムでは、免疫監視機構の形成、破綻、及びそれによる疾患発症の分子機構について最新の研究成果を発表していただき、免疫制御療法の可能性について議論したい。
3S2
12月11日(木)8:30-11:30
第2会場(神戸ポートピアホテル南館1階、大輪田A)
メタボロミクスが解き明かす生命のシステム
オーガナイザー:曽我 朋義(慶應義塾大学)・金井 好克(大阪大学)
オミクス研究は、細胞や生体内の多数の構成成分の変化をバイアスをかけない手法により網羅的に探索し、生命現象を包括的に理解しようとするものである。従来の仮説検証型の科学に対して、オミクスは網羅的なデータ解析によって背後に隠れている因子を見つけ出そうとする仮説発見型研究であり、人が予想もしなかった大発見をもたらす可能性を秘める。近年の分析技術、データ処理技術の進展に伴い、細胞内の代謝産物の網羅的、包括的なメタボローム測定法が急速に発達し、様々な生命科学分野で興味深い研究成果が生まれてきた。本シンポジウムでは、メタボロミクスをバイオマーカー探索、神経疾患、サーカディアンリズム、ケミカルバイオロジー、細胞応答機構、トランスポーター等の研究分野に応用し、先駆的、独創的な気鋭の研究者に最先端の研究成果を紹介して頂き、メタボロミクスの発展の方向性を探りたい。
3S3
12月11日(木)8:30-11:30
第3会場(神戸ポートピアホテル南館1階、大輪田B)
細胞内ロジスティクス:病態の理解に向けた細胞内物流システム研究
オーガナイザー:吉森 保(大阪大学)・佐々木 卓也(徳島大学)
細胞内の多くのオルガネラ間を膜動態によって結ぶ物流システム・メンブレントラフィックは、細胞膜を最前線とする細胞の対外活動のための後方支援機構(兵站=Logistics)として個々の細胞の生存のみならず神経系や免疫系など細胞間の連携により成り立つ高次生体機能をも担う。このシステムの実体は単なる物質運搬ではなく、まさに経済用語としてのLogistics、すなわち「原材料の調達から製品消費までのものの流れの総合的なマネジメント」により近い。そこで我々は、細胞内で合成された分子や細胞内外から取り込んだ分子を、必要なとき必要な場所に必要なだけ効率的に輸送するための統括的物流管理としての「細胞内ロジスティクス」という概念を提唱する。本シンポジウムでは、その破綻が招く疾患や病原体によるシステムの「乗っ取り」に焦点を当て、細胞内ロジスティクスの重要性を浮き彫りにしたい。
3S4
12月11日(木)8:30-11:30
第4会場(神戸ポートピアホテル南館1階、大輪田C)
生命現象と疾患におけるエピゲノムのプログラミング機構
オーガナイザー:油谷 浩幸(東京大学)・中尾 光善(熊本大学)
エピゲノムは、細胞の遺伝情報発現を継承する遺伝性を担っているが、他方、細胞の外因性・内因性の刺激に応じて大きく変動する可塑性を兼ね備えることが注目されている。従来の保存的で静的な機能から、むしろ可逆的で動的なものとして認識されてきた。細胞のシグナリングは核内に伝達されて、特定のエピゲノムを変化させるのである。DNAメチル化やヒストンの修飾因子、そのマークを付された被修飾因子を選択的に認識する結合因子が連動することでなされているが、マークの多重性に加えて、脱修飾因子の存在が示すように、分子修飾は予想を超えて複雑かつ動的である。近年のChIP-on-chipおよび次世代シーケンス技術の進歩に従い、エピジェネティックなマークやクロマチン因子について網羅的なエピゲノム解析が可能になっている。本シンポジウムにおいて、最新のエピゲノム解析技術の現状やその研究成果、エピゲノムと核内事象等について理解を深め、生命現象およびヒト疾患・病態に関わるエピゲノムの解明に迫る研究を加速するために、異分野融合型の有益な議論の場を提供する。
3S5
12月11日(木)8:30-11:30
第5会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、トパーズ)
時計遺伝子の多彩な機能
オーガナイザー:岡村 均(京都大学)・江本 憲昭(神戸大学)
35億年前地球に現れた生物は、巨大な発光体である太陽から周期的にエネルギーを得、また、それによる障害から個体を守るため、体内で時間システムを進化させてきた。これが、時間形成に特化した時計遺伝子であり、わずか数個のこの時計遺伝子は、数千もの遺伝子を周期的に発現させる。この体内の時間システムは、エネルギー代謝や細胞周期など、細胞にとって基本的なプロセスのタイミングを規定するのみならず、多くのホルモン分泌や行動のタイミングを規定している。最近では、この時計遺伝子の研究の進展が、臨床医学における古くからの疾患の理解も変えようとしている。多くのデータは、日内リズムの異常が、従来の睡眠異常や躁うつ病のみでなく、メタボリック症候群や発癌にまで関連することを示唆している。本シンポジウムにおいては、時計遺伝子の振動の分子メカニズムから、環境とホルモン分泌や、時計遺伝子異常による癌や高血圧などの疾患のメカニズムまで、分子レベルでの最先端の研究を紹介する。
3S6
12月11日(木)8:30-11:30
第6会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、サファイア)
骨疾患とシグナル伝達
オーガナイザー:熊ノ郷 淳(大阪大学)・高柳 広(東京医科歯科大学)
骨は脊椎動物を特徴づける重要な器官だが、硬い細胞外基質の存在が分子生物学的な解析を困難にしてきた。しかし、培養細胞系の開発、遺伝子改変マウスを用いた解析の進歩から、骨芽細胞、破骨細胞、骨細胞などの骨構成細胞の分子レベルでの制御機構が明らかになってきた。その結果、骨は内分泌系、神経系、免疫系などと密接に関わり、単なる運動器の一部という位置づけから、生体制御を司る器官として考えなおすべき時代に突入しつつある。本シンポジウムでは、骨と他の生体制御システムとの連関に焦点をあて、骨疾患に関わるシグナル伝達研究の最先端を紹介する。
3S7
12月11日(木)8:30-11:30
第7会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、エメラルド)
植物発生における細胞間シグナリング
オーガナイザー:東山 哲也(名古屋大学)・澤 進一郎(東京大学)
いかにして1つの受精卵から複雑な個体がつくられるのか?これは生物種を問わず、多細胞生物に普遍的な問題である。本シンポジウムでは、植物発生の最新の知見を、発生の開始点といえる受精の段階から順を追って紹介する。植物の受精は花の組織内で起こるため、植物の受精や極初期発生の研究は、長らく大きな進展がなかった。しかし最近、生殖細胞形成における細胞運命の決定や、受精時における細胞間シグナリング、初期発生におけるパターン形成などについて、重要な知見が得られ始めた。また、植物は発芽後も頂端分裂組織に幹細胞を維持し、地上部と地下部で形態形成を続けながら成長する。その過程における、低分子性ペプチド群を介した細胞間シグナリング機構が、急速に明らかにされてきている。植物発生のしくみはどこまで解明されたのか。国内外で進められる最先端の研究について、新しい解析技術にも焦点を当てながら紹介する。
3S8
12月11日(木)8:30-11:30
第8会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、ダイヤモンド)
超高速シーケンサーとバイオインフォマティクス
オーガナイザー:森下 真一(東京大学)・鈴木 穣(東京大学)
1日当たり3億塩基前後を解読でき、従来のサンガー法に比べ100倍以上の性能を持つ装置 (454FLX, Illumina/Solexa, ABI/SOLiD) が2007年度から普及しはじめた。数年後にはPacific Biosciences社から1000億塩基/時間の装置が市場化されることが期待されている。応用は幅広い。ゲノムの解読、ヒトゲノムの再解読、近縁種ゲノムの比較、全長cDNA収集を高速かつ低コストで実現できつつある。さらに従来は網羅的観測が困難であったヌクレオソーム構造、DNAメチル化、ヒストン修飾等のエピゲノム構造の解析、遺伝子5’端の網羅的収集を可能にしつつある。しかし背後には、解読可能な塩基長がサンガー法に比べ短い問題を克服し精度を高める努力と、大量データを処理するために大規模並列計算技術を活用する工夫が必要である。本シンポジウムでは応用とバイオインフォマティクスの両面から今後の方向性について議論する。
3S9
12月11日(木)8:30-11:30
第9会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、ルビー)
細菌情報伝達ネットワークとドラッグデザイン
オーガナイザー:城 宜嗣(理化学研究所)・内海 龍太郎(近畿大学)
細菌細胞は種々の環境要因に適応すべく、さまざまなセンサーキナーゼ(ヒスチジンキナーゼ、HK)とレスポンスレギュレーター(RR)からなる2成分制御システム(two-component system TCS)を有している。TCSの特徴は、細菌膜状に存在するセンサー蛋白質(ヒスチジンキナーゼ HK)の自己リン酸化とリン酸化されたHKと対をなすレスポンスレギュレーター(RR)へのHis→Aspリン酸リレーとリン酸化RRによる標的遺伝子の発現制御である。TCSにより、病原菌の病原性、バイオフィルム、クオラムセンシング、薬剤耐性、増殖等に関与する遺伝子発現が制御されている。近年、これらのTCSは、単なるHis→Aspリン酸化リレーだけでなく、各TCS間が連結するネットワークを形成していることが明らかになってきている。これらの事実は、細菌細胞においても、高等生物と同様に、情報伝達ネットワークによる細胞の恒常性維持が重要な働きとしていることが示されてきている。本シンポジュームでは、特に病原菌の病原性、バイオフィルム、クオラムセンシング、薬剤耐性、増殖等に関与する遺伝子発現のネットワークの分子機構の最新の情報を提供する。また、それらを標的にした新規抗菌剤としての分子標的薬の有用性と開発の現状を紹介する。そのために、構造研究関係3題(城担当)ネットワークと分子標的薬4題(内海担当)を予定しています。
3S10
12月11日(木)8:30-11:30
第10会場(神戸ポートピアホテル本館2階、のじぎく・すみれ・つつじ)
mRNA 前駆体上に隠されたスプライシング暗号の解読
オーガナイザー:萩原 正敏(東京医科歯科大学)・前田 明(藤田保健衛生大学)
ヒトを含む高等動物のプロテオームの多様性は、mRNA前駆体の選択的スプライシングによって生み出される。選択的スプライシングは組織あるいは発生段階特異的に制御され、スプライシングを促進あるいは抑制する制御配列がmRNA前駆体上に存在している。アミノ酸を変化させない点突然変異が遺伝病や発癌など様々な疾病を引き起こす症例では、その制御配列にしばしば変異が見出される。このようにスプライシング制御の分子機構、すなわち“スプライシング暗号”を解明することは、ポストゲノム時代における分子生物学の重要課題の一つとなっている。mRNAの核外輸送、品質管理、翻訳などの遺伝子発現の諸過程や非翻訳RNAの機能に関しても、スプライシング暗号の解読を端緒にして新たな展望が開ける可能性が高い。本シンポジウムでは、スプライシング制御とその関連分野で活躍する内外の研究者を迎え、現状と未来への展望を議論する。
3S11
12月11日(木)8:30-11:30
第11会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、偕楽1)
転写シグナリングと複合体ダイナミクスの新展開
オーガナイザー:五十嵐 和彦(東北大学)・伊東 健(弘前大学)
真核生物では、環境シグナルやホルモンなど生命を彩る様々な入力情報は、低分子化合物結合やタンパク質修飾によるアロステリック制御など、タンパク質ネットワークの動的で秩序だったシグナル伝達へと変換され、転写反応を調節する。細胞内でしばしば微量にしか存在しない転写制御因子群が効率よくシグナルを伝達する上では、タンパク質の複合体形成やDNA情報の区画化などによる情報処理が重要な位置を占めている。また、このようなファインチューンされた転写シグナリングの乱れが様々な生命現象の破綻を引き起こすことは想像に難くない。本シンポジウムでは、このような観点から転写因子、コレギュレーター、クロマチン制御因子、基本転写因子などによる転写シグナリング機構を再検討したい。
3S12
12月11日(木)8:30-11:30
第12会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、偕楽2)
脂質の新機能
オーガナイザー:横溝 岳彦(九州大学)・村上 誠(東京都臨床医学総合研究所)
我が国が世界一の長寿を誇る要因は魚中心の食事による脂質摂取の違いにあるとされ、国民の「脂質の重要性」に関する関心は近年極めて高まっている。脂質は「水に難溶性の分子」と定義され、生体の最も効率の良いエネルギー源あるいは細胞膜の主要な構成成分と考えられてきた。しかしながら、現在、脂質は細胞内外の情報伝達に関わる重要な分子であることも明白である。脂質は遺伝子に直接コードされていないが、脂質の代謝酵素ならびに受容体の分子同定、ならびにその遺伝子改変マウスの表現型解析によって、脂質分子の多彩な生体内機能が明らかになってきた。本シンポジウムでは、「既成の概念を越えた脂質の新機能の発見」をテーマに、新しい脂質の代謝マップ・ダイナミクス・生理作用・病態との関連に関する最新の話題を取り上げる。当該研究領域で国際的に活躍している若手研究者をシンポジストとして迎え、生命現象における脂質の機能に関する新たなるパラダイムを考察したい。
3S13
12月11日(木)8:30-11:30
第13会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、偕楽3)
細胞骨格の創造から機能発現まで
オーガナイザー:渡邊 直樹(京都大学)・武谷 立(九州大学)
アクチン線維の重合核形成促進因子としてArp2/3複合体が同定されて以来、10年が経過した。その後、ForminファミリーやSpire、最近のleiomodinなどアクチン重合核形成促進分子が明らかにされた。これらの分子群は、細胞形態変化に伴う様々の生体機能に重要な役割を果たしている。一方、重合核形成反応は、インビトロにおけるアクチン線維形成の律速段階として注目されてきたが、既に多量の線維が存在し、動的平衡状態にある生体内において、どのようなダイナミクスで細胞骨格改変に貢献しうるのかといった素朴な疑問でさえ、ほとんどの分子やその制御シグナルについて未解決である。本シンポでは、主としてアクチン系の細胞骨格の形成がいかにして細胞内でトリガーされ、生体機能に結びつくかについて、細胞内分子イメージングから数理モデル化、生化学や生体レベルでの解析など種々のアプローチから得られた新しい知見について紹介する。
3S14
12月11日(木)8:30-11:30
第14会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、和楽)
神経細胞と極性
オーガナイザー:貝淵 弘三(名古屋大学)・松崎 文雄(理化学研究所)
神経細胞は脳内で複雑なネットワークを形成するが、その基本機能は情報を受け取り統合して他の神経細胞へ伝えることである。神経細胞は神経幹細胞が極性化し、非対称分裂することにより生み出されると考えられている。産生された神経細胞は前後に極性化して脳内を移動し、やがて、細胞体から1本の軸索と複数の樹状突起を伸長させる。樹状突起で他の神経細胞からの情報を受け取り、細胞体で統合し、軸索を通じて他の神経細胞へ情報を受け渡すという機能を獲得する。この機能を獲得・維持するためには、軸索と樹状突起という機能的にも形態的にも異なる突起を伸展させ、極性化することが必要である。このように神経細胞が誕生し、成熟して機能するためには様々なステップで極性化する必要がある。この極性化には細胞内外の様々なシグナル、細胞骨格・接着のリモデリング、選択的な細胞内輸送が複雑に関与すると考えられている。本シンポジウムでは、神経細胞の極性化に焦点を当てて、国内外の第一線の研究者にお話しいただく。
3S15
12月11日(木)8:30-11:30
第15会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、生田)
統合レチノロジー:網膜の機能的構築の多面的理解
オーガナイザー:河村 悟(大阪大学)・深田 吉孝(東京大学)
網膜は視覚情報検出のために特化した感覚神経組織であり、その中で視細胞は初段の光量子検出に関わる神経細胞である。我々自身の体験から明らかなように、視覚感覚は様々な光環境のもとで多様な性質を示す。このような性質は視細胞や2次ニューロンレベルで既にもたらされており、これら細胞レベルでの研究によって、視覚の基本的メカニズムの多くを明らかに出来る。本シンポジウムでは、特に視細胞に焦点を当て、専門領域を越え、視覚情報処理に関する幅広い理解を目指す。生化学領域からは視細胞内でのシグナル伝達(Wenzel)、生化学・生理学領域からは明所と暗所で働く2種類の視細胞のシグナル伝達の違い(河村)と視細胞での明順応のメカニズム(深田)、遺伝学領域からは視細胞特異的発現遺伝子から見た視細胞機能をもたらすメカニズム(古川)、また生理学領域からは視細胞と2次ニューロン間の視細胞シグナル制御メカニズム(金子)に関する講演を予定している。
3S16
12月11日(木)8:30-11:30
第16会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、布引)
シグナル伝達タンパク質の分子認識研究の新展開
オーガナイザー:樋口 芳樹(兵庫県立大学)・箱嶋 敏雄(奈良先端科学技術大学院大学)
シグナル伝達は、レセプターによるシグナル受容に始まって、幾つものタンパク質を介する。これらタンパク質間相互作用の研究では、最近、新しい相互作用モジュール(ドメインやモチーフ)等による予想されなかった特異的相互作用の発見が国内外で続いている。例えば、WintシグナルにおけるAxinのDIXドメインの特異的会合・重合、重要なRacGEFであるTiam1/2のPHCCExドメインの標的認識、あるいは、Transportin1のcargo認識、IL-15受容体のIL-15認識、はしかウイルスのホスト認識などであり、これら成果の一部は、Nature Mol. Struct. Biol., Nature Immunol., Mol Cell等に発表されて、分子生物学・生化学のみならず基礎医学にも強いインパクトを与えている。本シンポジウムでは、これら最新の成果を持ち寄って、分子・原子レベルから見たシグナル伝達における相互作用研究を考える。
3S17
12月11日(木)8:30-11:30
第17会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、北野)
酵母に学ぶ細胞の巧みなストレス適応戦略
オーガナイザー:木俣 行雄(奈良先端科学技術大学院大学)・高木 博史(奈良先端科学技術大学院大学)
細胞は様々なストレスに応答し、適応するための主要な戦略として、変性したタンパク質(異常タンパク質)を適切に処理する機構を備えている。酵母(Saccharomyces cerevisiae)を用いた研究は、以下の理由によりこの分野における重要な位置を占めている。(1)真核細胞のモデル系として、変異株を用いた遺伝学的解析やポストゲノム解析により、分子機構の理解が急速に進んでいる。(2)単細胞生物であるため、細胞が環境の変化をダイレクトに受けており、ストレスに鋭敏に応答できる。(3)ストレス耐性酵母の作製は、発酵食品の効率的生産やバイオマスの高度利用など産業面にも大いに貢献する。本シンポジウムでは、真核細胞のストレス適応戦略を深く考察することを目的に、タンパク質の処理機構(分子シャペロン系、ユビキチン・プロテアソーム系、オートファジー)、およびそれらを誘導するストレス応答機構(小胞体ストレス、浸透圧ストレスなど)、について、酵母における最新の知見を紹介して議論を進めたい。
3S18
12月11日(木)8:30-11:30
第18会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、菊水)
レドックス制御とレドックスシグナリング-微生物・植物・動物における研究の融合と展望
オーガナイザー:淀井 淳司(京都大学)・久堀 徹(東京工業大学)
近年、光合成・細胞死制御・シグナル伝達・ストレス応答・疾患への関与など、様々な生命現象にレドックス(酸化・還元)による制御が重要な役割を果たしていることが報告されている。本シンポジウムでは、生化学会・分子生物学会合同という利点を生かして、生物種を越えたグルタチオン・チオレドキシンを中心としたレドックス研究における新たな切り口や最新のレドックス制御・レドックスシグナリングにおける生化学・分子機構研究の成果を紹介する。特に、細胞内小器官における膜内外でのレドックスを介したシグナルについて議論を行う。本シンポジウムが、レドックスに関係する様々な微生物・植物・動物での研究の交流・融合と今後の基礎研究・応用研究を展開するための新たな基盤となることを期待する。
3S19
12月11日(木)8:30-11:30
第19会場(神戸国際会議場1階、メインホール)
細胞周期制御と高次生命現象
オーガナイザー:岸本 健雄(東京工業大学)・中山 敬一(九州大学)
細胞周期の制御システムは、サイクリン-CDK複合体群とその阻害因子群を中核とした細胞周期エンジン、および欠陥対応型の負のフィードバック系であるチェックポイントから構成されている。こうした基本原理の確立を受けて、細胞周期は、転写・シグナル伝達・タンパク分解などと並んで、生命現象の基本システムの一つとして位置づけられ始めている。特に、多細胞生物における発生の時空間軸からみた細胞増殖過程は、増殖の開始と停止・増殖と分化の相関・形態形成・さらには細胞の癌化等、細胞周期制御を鍵として取り組むべき多彩な課題に満ちている。本シンポジウムでは、こうした高次生命現象への細胞周期制御からのアプローチについて、最近のトピックスを議論したい。
3S20
12月11日(木)8:30-11:30
第20会場(神戸国際会議場3階、国際会議室)
バイオ燃料生産プロセスに資する分子生物学 -バイオマスリファイナリー統合新時代へ向けて
オーガナイザー:植田 充美(京都大学)・吉田 和哉(奈良先端科学技術大学院大学)
2008年度の分子生物学会・生化学会の合同年会開催地である神戸のお膝元の神戸大学において2007年末に世界初の統合バイオリファイナリーセンターが設立された。その設立趣旨は、持続可能な社会構築にとってCO2排出削減をはじめとする環境再生や脱化石資源の達成が急務であり、そのために、分子生物を基盤とする植物分子育種(グリーンバイオ)と微生物育種(ホワイトバイオ)が統合かつ融合した世界に先駆けた叡智を集めた実用研究の集中・集積センターが必要であることであった。植物バイオマス資源を原料に燃料や化成品を高効率に生産するシステムの研究開発が世界的に活発化している。我が国では歴史的に強みのある発酵技術を中心に、1)植物バイオマスの増産と改質(分子育種)、2)原料バイオマス糖化、3)バイオ燃料変換、4)有用化合物変換、5)環境浄化や資源回収といった素過程を機能的に連携させる世界初の統合型バイオリファイナリーシステムの研究開発が進められている。本シンポジウムでは、それぞれの素過程について分子生物学、生化学、オミクス解析等の基礎研究成果に立脚したテクノロジー開発の最前線と将来展望について、各分野の第一線で活躍する産学の若手、中堅研究者による研究発表とディスカッションを行う。
3S21
12月11日(木)8:30-11:30
第21会場(神戸国際会議場4階、401+402)
トランスポーターが拓く新しい生物システム(細胞応答分野)
オーガナイザー:森山 芳則(岡山大学)・柿沼 喜己(愛媛大学)
トランスポーターは生体における物質転流の鍵となる膜分子です。新規トランスポーターやトランスポーターの新しい機能に着目することにより、新しい代謝制御系やシグナル伝達系の存在を明らかにすることが可能です。実際、現在、新規トランスポーターの発見を通じて、細菌から高等植物やヒトにひろく横たわる、これまで想像もできなかったような新しい生物システムが続々と明らかにされています。本シンポジウムでは、このようなトランスポータ−研究の最新の成果を報告します。そして、研究を推進するための膜タンパク質の新しい研究方法について紹介します。
3S22
12月11日(木)8:30-11:30
第22会場(神戸国際会議場5階、501)
ホスファターゼスーパーファミリーの機能と異常:ゲノムから疾患まで
オーガナイザー:的崎 尚(群馬大学)・畠山 昌則(北海道大学)
ヒトゲノムにおいて100を越えるとされるホスファターゼの生化学的、分子生物学的解析による機能解明の進歩が近年著しい。一方で、遺伝子改変マウスの利用や疾患遺伝子の解析から予想もしなかったホスファターゼの新たな機能や疾患との関わりが明らかにされつつある。とりわけ最近では、先天性疾患、固形腫瘍、白血病などの発症要因にキナーゼ以上にホスファターゼの異常が重要であることの知見が続々ともたらされている。本シンポジウムでは、プロテインホスファターゼの新たな機能とともに、それらの遺伝子異常、機能異常とがんを中心とした疾患との関わりをテーマとし、最近進展が顕著である国内外の研究者にその研究成果を紹介していただく。
3S23
12月11日(木)8:30-11:30
第23会場(神戸国際会議場5階、502)
ケミカルバイオロジーの展望
オーガナイザー:浜地 格(京都大学)・三原 久和(東京工業大学)
生命現象は細かく見て行くと化学的な事象の積み重ねとネットワークによって成り立っている。化学を武器にして生物や疾病などの生命現象を理解する研究はケミカルバイオロジーとよばれており、生化学・分子生物学の研究と相補的な役割を果たしてきた。特に最近の化学と生物学の進歩を反映して、ケミカルバイオロジーは新たな展開を見せつつある。このシンポジウムでは、化合物ライブラリーの化学を利用したケミカルバイオロジーと生命現象の化学イメージングを目指したケミカルバイオロジーという二つの大きな分野に関して、日本やアジアの研究者を招待して議論し、今後の潮流を占う。これらの基礎研究から生まれる発想の転換や技術革新は、創薬や診断などへの応用も期待される。
3S24
12月11日(木)8:30-11:30
第24会場(神戸国際会議場5階、503+504+505)
NMR構造生物学ー機能解明へ向けて
オーガナイザー:稲垣 冬彦(北海道大学)・嶋田 一夫(東京大学)
NMR法は生理条件下に近いタンパク質の構造を明らかにすることが出来る点で構造生物学研究の重要な研究手法となっている。特に、近年新しい方法論の開発が進められ、結晶構造では得られないダイナミックなタンパク質の姿を明らかにすることが可能となり、より機能と関連したタンパク質研究が行われるようになった。本シンポジウムでは、これらの方法論の開発に関わってきたNMR研究者を招き、開発の現状、得られた成果、その生物学的意義を中心にお話いただく予定である。
3S25
12月11日(木)8:30-11:30
第25会場(神戸国際展示場2号館2階、2A会議室)
神経変性疾患関連遺伝子探索と機能解析
オーガナイザー:垣塚 彰(京都大学)・高橋 良輔(京都大学)
今後、超高齢化社会に突入するわが国において、認知症を代表とする神経変性疾患を患う患者の急激な増加が予想されるが、有効な治療法はいまだ見つかっていない。しかしながらこの十数年間の研究で、神経変性疾患の発症には、脳・神経系での異常な蛋白質の蓄積が引き起こす生体反応が深く関与していることが明らかになってきた。したがって、そのような生体反応に関わる分子メカニズムを解明することが治療へ向けての糸口を得る最短距離と考えられる。このような視点から、本シンポジウムでは、「神経変性疾患関連遺伝子検索と機能解析」と銘打って、いろいろな神経変性疾患の原因遺伝子の機能解析のみならず、発症に関与する生体反応に関わる可能性のある遺伝子の同定・解析結果を広く募集します。また、いろいろな分野の方に本シンポジウムに参加していただき、大いに議論を交わすことで、新しい発想が生まれることを期待します。
3S26
12月11日(木)8:30-11:30
第26会場(神戸国際展示場2号館3階、3A会議室)
新たなステージに入ったがんオミクス研究
オーガナイザー:橋 隆(名古屋大学)・稲澤 譲冶(東京医科歯科大学)
ヒトゲノム情報の充実とさまざまなバイオテクノロジー解析技術の革新は、がんの本質に迫る分子病因の解明研究から予防・診断・治療への直接的な応用に至るまで、大きな変革をもたらすものと期待されて久しい。実際、ゲノミクス、プロテオミクス、グライコミクス等々、がんをさまざまな観点から網羅的に理解し、さらにはその成果を臨床へトランスレートしようとする試みが進められて来た。一方で、着実に積み重ねられてきた研究成果ではあるが、必ずしも当初の期待ほどにはがんの本態解明や医療への還元につながっていないのではないかとの疑念も存在しないわけではない。そこで、本シンポジウムは、がんの基礎的理解から臨床応用まで、さまざまな研究分野におけるユニークでカッティングエッジな研究の発表をもとに、新たなステージに入った最新のがんのオミクス研究の進捗のさまを的確に捉えられる場として企画した。これからのがんのオミクス研究が向かうべき方向性を含め、有益なディスカッションが展開されるものと期待される。
4S2
12月12日(金)8:30-11:30
第2会場(神戸ポートピアホテル南館1階、大輪田A)
蛋白質のリン酸化と細胞応答
オーガナイザー:名田 茂之(大阪大学)・山梨 裕司(東京大学)
多細胞生物の個々の細胞はその環境に対する適切な応答を通じて、個体としての生命活動を支えている。その際、極めて迅速な細胞応答が要求される局面も数多く知られており、秒単位の制御も可能な生体分子のリン酸化・脱リン酸化は生命活動に必須の細胞応答を可能にする重要な化学修飾のひとつと考えられている。すでにリン酸化による細胞応答制御は多元的に機能していると考えられているが、実際には組織・個体レベルでの複数の細胞種間での情報のやりとり、細胞内での局所的な機能調節、そしてそれらの行き着く先にある細胞応答の調節などの各ステップで未解明な部分も多く、その中には未知のリン酸化シグナル伝達制御機構の存在も予想される。本シンポジウムでは、細胞表面でのシグナル受容から細胞内ベシクルや紡錘体等の細胞内小器官において繰り広げられるリン酸化シグナルとその後の細胞の運命付けに関する最新の話題を提供し、その生理学的・病態生理学的な機能に関する議論を喚起したい。
4S3
12月12日(金)8:30-11:30
第3会場(神戸ポートピアホテル南館1階、大輪田B)
タンパク質分解を介した新たな生理機能
オーガナイザー:小松 雅明(東京都臨床医学総合研究所)・村田 茂穂(東京大学)
タンパク質分解は単にタンパク質の死を意味するのではなく、選択的なタンパク質分解による生体制御、限定分解によるタンパク質の機能変換、バルクなタンパク質分解によるエネルギー産生等の多彩な役割を担う。すなわち、新たな細胞活動を生み出す原動力である。タンパク質分解が発信する情報は、生命の恒常性維持に不可欠な現象(細胞周期、転写、免疫,品質管理、飢餓応答)に密接にリンクしているため、厳密に制御されており、その破綻は病態発症や死に至る。本シンポジウムでは、タンパク質分解を介して生体内変動を調節するユビキチン・プロテアソーム系やオートファジーによる新たな生理機能について最新の知見を紹介し議論する。
4S4
12月12日(金)8:30-11:30
第4会場(神戸ポートピアホテル南館1階、大輪田C)
ゲノムの安定性と多様化を制御する分子機構
オーガナイザー:菅澤 薫(神戸大学)・益谷 央豪(大阪大学)
ゲノムDNAはさまざまな内的・外的要因によって絶えず損傷を受けており、それを治すための種々の修復機構が常に働いている。また修復しきれずに残った損傷が転写や複製を阻害した場合のために、それを回避する巧妙な分子機構が生物には備えられている。これらの分子機構の破綻は、細胞死の亢進、突然変異や染色体不安定化を伴う異常細胞の出現、さらには個体全体の機能低下・異常を引き起こす。すなわちDNA修復や損傷応答機構を欠損したヒト遺伝疾患は、身体発育異常、神経症状、早期老化、奇形、高発がん性などの多様な臨床症状と関連している。他方、ゲノムDNAの可塑性は、組換えによるゲノム再編成、あるいは積極的な突然変異導入により細胞機能の多様性を生み出し、さらに進化を推進する原動力でもある。本シンポジウムでは、このようなゲノム機能の二面性とそのバランスを維持する分子機構に焦点をあて、第一線の研究者による講演を通じて議論を深めたい。
4S5
12月12日(金)8:30-11:30
第5会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、トパーズ)
左右非対称性の分子生物学
オーガナイザー:岩里 琢治(理化学研究所)・相澤 秀紀(理化学研究所)
ヒトを含む左右相称動物も,循環器系,消化器系の形態などから明らかなように,左右非対称性を有する。こうした形態的な左右非対称性を生み出す分子機構の理解は,脊椎動物において,ここ十数年間に飛躍的に進展した。一方,最近,無脊椎動物での理解も緒に就き,新しい左右差形成機構の存在が示されている。また,言語機能が片側の大脳皮質に局在するなど,脳には機能的な左右非対称性があることが知られている。近年,マウスと魚類において,その一端が神経回路および分子レベルで明らかにされ,脳の左右差の分子機構理解のための重要な手がかりが得られた。さらに,ヒトやマウスは,左右の足を交互に出して歩くなど,運動の左右非対称性を示すが,こうした左右の手足の独立した動きを可能にする神経回路形成の分子機構の一端が,最近明らかになった。本シンポジウムでは,様々なモデルを用いた独自の戦略により,形態的,機能的な左右非対称性の分子基盤に挑む最先端の研究を紹介する。
4S6
12月12日(金)8:30-11:30
第6会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、サファイア)
感染症研究の新展開
オーガナイザー:竹田 潔(大阪大学)・松浦 善治(大阪大学)
病原微生物の生体内侵入により発症する感染症に対する研究は、これまで病原微生物を対象とした微生物学と、宿主を対象とした免疫学に大きく分かれた形で発展してきた。しかし、近年になり、微生物学と免疫学を融合させ、感染現象および感染症の発症機構を包括的に理解しようという気運が高まってきている。その結果、感染症研究も大きな進展を見せ、病原微生物と宿主の相互作用の観点から進められた研究成果が次々と発表され、感染症の発症機構およびそれに対する宿主応答機構の理解が進んできている。本シンポジウムでは、このように新展開を見せているウイルス、細菌、寄生虫などの病原微生物により発症する感染症の最先端の研究成果にスポットをあてて議論したい。
4S7
12月12日(金)8:30-11:30
第7会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、エメラルド)
最新メタボロミクス事情と植物科学への貢献
オーガナイザー:斉藤 和季(千葉大学/理化学研究所)・有田 正規(東京大学/理化学研究所)
植物メタボロミクスはゲノム遺伝子機能同定や代謝ネットワークの解明などに必須のテクノロジーになってきている。特に、植物細胞による代謝系をシステムとして理解するために、メタボロミクスやトランスクリプトミクスなどからのデータ主導のシステム生物学アプローチが今後きわめて重要である。これらは、植物機能を食料、医薬、バイオエネルギーに応用する基礎として必須である。本シンポジウムでは、これらのトピックスについて、この分野で活躍が期待されるスピーカーによって話題を提供していただき、今後の展望を議論する。具体的には、植物メタボロミクス解析の実際、データベースとインフォマティクスツール、モデリング、高速ゲノム機能科学、モデル植物から実用植物・作物における物質生産や育種応用などのテーマを考えている。
4S8
12月12日(金)8:30-11:30
第8会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、ダイヤモンド)
動的ネットワーク構造探索の計算イニシアティブ
オーガナイザー:宮野 悟(東京大学)・堀本 勝久(産業技術総合研究所)
生命システムの理解のためには,そのシステムに関する多様で詳細かつ膨大な量のデータを出すことが必要ではあるが,これまでのように,それだけで合理的にその理解が深まっていくと考えるには無理があるという認識が広がっている.このシンポジウムでは,生命ネットワークの構造推定や生命体データ同化(data assimilation)技術をはじめとするダイナミクスのパラメータ推定の方法に焦点を絞り,生命システムについての生物学的知見に基づいてどのような計算戦略をとり,その計算とデータ解析のためにどのような数理的基準で計測データを取れば合理性があるのか,などについて関連する研究を発表する.そして,計算主導型の実験研究により推定・構築された動的ネットワークによるバイオマーカー探索,仮説のイン・シリコテスト,仮説のプレスクリーニング,動的挙動予測などの可能性と限界について議論する。
4S9
12月12日(金)8:30-11:30
第9会場(神戸ポートピアホテル南館地下1階、ルビー)
ミトコンドリアゲノムが関連する多様な機能
オーガナイザー:康 東天(九州大学)・林 純一(筑波大学)
近年のミトコンドリアゲノム維持機構に関する研究は、転写・複製、母子間遺伝様式などこれまでの長い間信じられてきた基本モデル/概念に根本的な変革を迫っている。また、ミトコンドリアゲノムの損傷や変異などが細胞機能に及ぼす影響についても、やはりこれまでのミトコンドリアゲノムの障害→ATP産生能の低下→細胞機能の破綻という単純な一連の図式では説明できない現象が明らかになり、それらをようやく分子レベルで理解できるようになってきた。またミトコンドリアゲノム変異と老化、がん、糖尿病、心血管障害、神経変性の関係についても、分子レベルでの明確な証拠が蓄積しつつある。このようなミトコンドリアゲノムの維持とその生理学的意義を結ぶ最新の研究成果を基にして、新しいミトコンドリアゲノム像に向けての討論を展開したい。
4S10
12月12日(金)8:30-11:30
第10会場(神戸ポートピアホテル本館2階、のじぎく・すみれ・つつじ)
細胞核内ドメインとその生物学的役割
オーガナイザー:井上 晃(大阪市立大学)・谷 時雄(熊本大学)
今まで明らかにされてきた細胞核内のコンパートメント(nuclear domains)は、リボソームを合成する核小体をはじめとして10以上にもなる。核内ドメインは膜を持たず、構造は動的であり、固有の遺伝子発現過程に関わる特定のタンパク質やRNP複合体がひっきりなしに出入りしている。そしてこれらのドメインは細胞核反応の選択的効率化とたえず変動する遺伝子発現に応答するための仕掛けを構成していると考えられる。しかし個々のdomainについてみると、課題が横たわり解明すべき問題点は多い。本シンポジュウムではこれらコンパートメントの構成要素、ドメインの機能と繰り広げられる反応、ドメインの構築原理、ダイナミックス、そして今後の課題を概観する。このセッションを通して細胞核内ドメインについてさらなる理解が得られることを期待する。
4S11
12月12日(金)8:30-11:30
第11会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、偕楽1)
染色体サイクルの制御機構
オーガナイザー:正井 久雄(東京都臨床医学総合研究所)・太田 邦史(東京大学)
細胞の増殖や分化の過程は、細胞周期進行と密接に関連する。細胞周期は、大きく染色体DNAの複製と、細胞分裂とにわけられ、この二つのイベントを規則正しく繰り返しつつ進行する。染色体は、この間に忠実に複製され、2つの娘細胞に正確に分離分配される。染色体は世代にわたって、安定に維持される必要がある一方で、組換え機能によるDNA情報の変化は、進化の基盤となるとともに、生殖過程における個体の多様性を生み出す。このような染色体の動態(染色体サイクル)を支える種々の反応は、相互に密接に関連しつつ進行、制御されていることが明らかとなってきた。シンポジウムでは種々の染色体イベントの連係・共役による染色体サイクルの制御機構についての最新の知見を、広い視点から討論する。
4S12
12月12日(金)8:30-11:30
第12会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、偕楽2)
リン脂質シグナリングと生体膜のダイナミクス
オーガナイザー:伊藤 俊樹(神戸大学)・佐々木 雄彦(秋田大学)
イノシトールリン脂質をはじめとして、多様な構造をもつ脂質はその産生と分解を司る代謝酵素の作用によって形質膜やオルガネラ膜の特異的なランドマークとなる。それらはタンパク質との特異的な相互作用を介して細胞内局在および活性を制御し、さらには生体膜の形状変化をも引き起こす。このような脂質‐タンパク質間相互作用の重要性が、多岐にわたる生物学分野や医学領域の研究成果として近年次々と報告されており、脂質生物学の分野は急展開を見せている。生物に遍く存在する脂質とタンパク質との相互作用は、細胞の極性形成、細胞運動、細胞内物質輸送などの多彩な生命現象を支える普遍的な分子機構と考えられる。本シンポジウムでは、幅広い研究領域の最新の知見について、脂質の機能・代謝の観点からご発表いただく。脂質研究の方法論、医療への応用を含め、脂質にまつわる生物学の将来を展望する議論を深める機会となることを期待する。
4S13
12月12日(金)8:30-11:30
第13会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、偕楽3)
細胞接着におけるシグナル伝達
オーガナイザー:古瀬 幹夫(神戸大学)・高木 淳一(大阪大学)
カドヘリンやインテグリンに代表される接着分子の研究により、細胞膜上の接着分子・膜裏打ちタンパク質・細胞骨格から成る細胞接着の基本分子メカニズムが明らかにされてきた。この間、スキームの頂点にある接着分子そのものの解析が分子生物学的手法によって切れ味よく進められた。一方で、接着情報の細胞内への伝達機構、接着の制御機構といった、細胞質側因子とシグナル伝達が関与するきわめて重要な問題は、その複雑さゆえにまだ部分的にしか解明されておらず、現在様々なアプローチにより研究が進められている。本シンポジウムでは、細胞接着現象におけるシグナル伝達に関わる多様な研究を集め、この分野の現状を紹介するとともに、今後の研究の方向性を探る。
4S14
12月12日(金)8:30-11:30
第14会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、和楽)
濃度勾配性因子による細胞極性・細胞運動の制御:組織構築、創傷治癒およびがんの浸潤・転移の機構解明を目指して
オーガナイザー:菊池 章(広島大学)・南 康博(神戸大学)
成長因子(EGF、HGF、TGFb、Wnt等)や反撥・誘引因子(セマフォリン等)は、共通または独自のシグナル伝達経路を作動することにより、細胞の増殖、分化、生存やアポトーシスを制御するとともに、細胞極性や細胞運動能を制御することにより、神経系をはじめとする組織・器官の形態形成において重要な役割を担うと考えられている。これらの因子は、生体においてしばしば時間的・空間的に制御された濃度勾配性の発現様式を示しており、これらの発現部位あるいは近傍に存在する細胞の極性・運動能を制御することにより、ダイナミックかつ緻密な形態形成のプログラムを実行していると考えられる。本シンポジウムでは、形態形成を司るこれらの因子による細胞極性・細胞運動制御のメカニズムに関する最新の研究成果を紹介するとともに、細胞極性・細胞運動制御の異常とがんの浸潤・転移などの病態との関連について考察する
4S15
12月12日(金)8:30-11:30
第15会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、生田)
転写因子NF-kBの制御機構の破綻と病態
オーガナイザー:中野 裕康(順天堂大学)・猪原 直弘(山梨大学/ミシガン大学)
転写因子NF-κBはこれまでに広範な生命現象を制御することが明らかにされており、近年急速なスピードでその活性化の分子メカニズムの全貌が明らかにされつつある。一方でNF-κBの恒常的な活性化あるいは活性低下がガン化、自己免疫疾患あるいは日和見感染症などの種々の病態と密接に関係していることが示されてきているものの、NF-κB経路そのものを標的とした治療法については特異性あるいは副作用と言った面から解決しなくてはならない問題点が多い。そこで本シンポジウムでは、NF-κBの制御機構の破綻がどのような異常をもたらすのかを、主に遺伝子改変マウスを用いた研究により紹介していただき、NF-κB経路を標的とした種々の疾患の治療についての妥当性についても議論したい。
4S16
12月12日(金)8:30-11:30
第16会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、布引)
血球細胞の分化系譜
オーガナイザー:谷内 一郎(理化学研究所)・菅野 雅元(広島大学)
最近の血液細胞の分化系譜の研究により、いわゆる「血液学」や「免疫学」の教科書に載っている分化系譜の図とは異なった全体像が出てきている。本シンポジウムでは、幹細胞から、制御リンパ球までの分化系譜の最新の話題を系列順に眺めてみることから、新しい系譜を考える機会を提供したい。本シンポジウムのキーワードは、「niche」「エピジェネティック制御」「転写・シグナル」「免疫疾患」など、他のシンポジウムと敢えてオーバーラップさせることで、BMB2008で細胞系譜としての全体像を俯瞰できるようにデザインした。具体的には、nicheと幹細胞の相互作用、造血幹細胞からリンパ系・骨髄系細胞系譜への運命の振り分け機構、エピジェネティック制御因子ポリコーム遺伝子群によるT細胞分化系譜制御、ヘルパーとキラーT細胞への分化系譜制御、腸管粘膜でのIgA産生B細胞の分化系譜、そして、制御T細胞の分化系譜と疾患について、分化系譜に沿って話題提供を行う。
4S17
12月12日(金)8:30-11:30
第17会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、北野)
アーキアゲノム生物学が与える生命科学研究へのインパクト
オーガナイザー:石野 良純(九州大学)・仲宗根 薫(近畿大学)
「アーキア」を研究材料にする研究上の大きな意義は何だろうか?研究成果は、周辺の生物学にどのようなインパクトを与えることができるだろうか?アーキアは、真正細菌や真核生物とは独立に進化した生物ドメインであり、他のそれぞれのドメインとの共通の特徴に加えて、アーキア特異的な代謝経路や生体構成物質の存在などから、生理、生化学的な興味が尽きない。多くのアーキアにおいては既に全ゲノム情報が解析されており、現実のアーキア研究は「Genome-based molecular biology」と呼ぶにふさわしい段階にあるといえる。比較ゲノム解析に基づく多方面の研究の進展の中で、遺伝情報伝達系という基本生命過程では、アーキアにおける関連分子は、真核生物型でありながら、装置としては非常に限定されたシンプルなシステムを構成し、真核生物基本素過程の源流をなすものとして捉えることが明確になってきた。そこで本シンポジウムでは、好熱菌、好塩菌、メタン菌の全てを取り上げ、複製、転写、翻訳、進化、新しいバイオテクノロジーのあり方に関する話題を、各々の研究者から提供していただき、アーキア生化学・分子生物学の今後の行方を議論したい。
4S18
12月12日(金)8:30-11:30
第18会場(神戸ポートピアホテル本館地下1階、菊水)
メカニカルストレスに対する筋・骨格系の応答の分子機構
オーガナイザー:武田 伸一(国立精神・神経センター)・野田 政樹(東京医科歯科大学)
長期の臥床による筋萎縮や骨萎縮などの運動器系の障害は、近年の高齢化の進展とともにますます重要な問題となっている。骨格筋においては、廃用や不動化による筋へのメカニカルストレスの減少が引き金となり、ユビキチン-プロテアソーム系が活性化され、筋蛋白質の分解が亢進し、筋萎縮に至ると考えられているが、その感知機構は未だ明らかではない。骨においては、骨芽細胞や骨細胞における直接的なストレスへのシグナリングメカニズムが存在すると考えられており、これらの細胞の機能の変調によって骨の萎縮が破骨細胞の活性化ならびに骨芽細胞の機能低下の両者が相まって進行することが現象として見られているが、その両者を制御するメカニズムについてはなお明らかでない。今回のシンポジウムにおいては、骨格筋の廃用性萎縮ならびに骨における機械的な刺激の低下に伴う骨量減少について最近の知見についての討論を行う。
4S19
12月12日(金)8:30-11:30
第19会場(神戸国際会議場1階、メインホール)
ストレス応答と転写因子
オーガナイザー:山本 雅之(東北大学)・深水 昭吉(筑波大学)
外界からもたらされるストレスの処理は、動物の生存を支える重要な生体防御反応である。環境異物・毒物や酸化・低酸素ストレスの刺激に応じて、解毒代謝酵素や抗酸化酵素、血管新生因子、造血因子など、生体防御に関わる遺伝子の発現が誘導されることは以前から知られていたが、しかし、それらの刺激がどのようにして感知されるのか、また、生体防御系遺伝子の発現がいかにして誘導されているのかについては、ようやく転写因子レベルでの理解が深まりつつあるところである。本シンポジウムにおいては、特に、タンパク質分解の抑制を通して、活性化(「脱抑制」)される一群の環境応答転写因子(HIFやNrf2)に着目して、生体がストレスを感知して、生体防御系遺伝子群の発現を誘導するまでの過程を包括的に議論することを目指す。これらの転写因子の解析から明らかになってきた生体の環境応答制御の分子機構について理解を深めたい。
4S20
12月12日(金)8:30-11:30
第20会場(神戸国際会議場3階、国際会議室)
植物の環境適応:その分子生物学的戦略
オーガナイザー:島本 功(奈良先端科学技術大学院大学)・篠崎 一雄(理化学研究所)
2008年は環境元年とも呼ばれ、世界各国で地球温暖化の軽減に向けた取り組みが、さまざまな分野において行われている。分子生物学分野においても、地球環境の改善に向けて将来大きな貢献が期待されている。植物はCO2を吸収し、CO2削減に貢献するのみならず、光合成を行い、他のすべての生物にエネルギーを供給する。また他の面においても植物はわれわれに人間にとって最も重要なさまざまな地球環境を維持する大きな役割を担っている。そこで、本シンポジウムにおいては植物が、いかに、変化する環境に応じて適応することができるのかという問題に関する最先端の分子生物学な研究成果を討論する。特に光合成、環境ストレス応答、微生物との相互作用、光応答における最新成果に着目し、それぞれの分野における第一人者をスピーカーとして選んでいる。そうした議論の中から、植物の持つ地球環境改善能力の将来的な利用やエネルギー生成の可能性についても論じる。また環境分野における分子生物学の貢献についても議論したい。
4S21
12月12日(金)8:30-11:30
第21会場(神戸国際会議場4階、401+402)
イオンチャネルの“機能する姿”の解明に向けて
オーガナイザー:久保 義弘(生理学研究所)・岡村 康司(大阪大学)
イオンチャネルの概念は、1950 年代に概念として始まり、1980 年代以降の単一チャネル記録、cDNA クローニングにより、その実在が確たるものとなった。その後、種々の研究手法による構造機能連関研究、および構造生物学的解析が行われてきた。その結果、分子機能の理解に大きな進展がもたらされた。しかし、チャネルの 「機能する姿」 についての情報は未だ限られており、その分子機能のメカニズムについては、未だ多くの問題が残されている。現在の課題として、例えば、脂質等の環境因子を含む様々な新規機能調節機構の解明、機能発揮の基本ユニットとなっている分子複合体の同定とその構造の解明、新規研究手法による動的構造変化の解析等が挙げられる。本シンポジウムでは、機能時のイオンチャネルの姿の理解と題して、この分野を代表する方々にご講演いただき、この研究分野の現在の動向を知り、また、今後の潮流を探るきっかけとしたい。
4S22
12月12日(金)8:30-11:30
第22会場(神戸国際会議場5階、501)
糖鎖を中心とした病態生化学
オーガナイザー:三善 英知(大阪大学)・鈴木 匡(理化学研究所)
糖鎖は、発生、分化、がん、免疫など、あらゆる生命現象に関与する。しかし、その構造の複雑さと解析技術の困難さから、これまで他の生体分子と比べてその研究が立ち遅れてきたように思う。昨今のモデル生物の解析、および質量分析を用いた構造解析技術の進歩により、糖鎖の異常と先天性疾患の発症、がんの転移、生活習慣病などとの直接的な関連が続々と発見されてきた。また糖鎖抗原の多くはがん細胞や各種幹細胞の特異的マーカーとして普及され、 “細胞の顔”としての糖鎖の重要性は生命科学者一般に広く認知されている。ただ、本質的な糖鎖と疾患の関連を明らかにするためには、従来のグライコミクス研究だけでなく、1つのpathwayをより深く探求できる新たなアプローチが必要だろう。本シンポジウムでは、糖鎖解析の新技術や各種疾患と糖鎖の関連、および糖鎖構造変化の生物学的・医学的重要性について、幅広く議論したい。
4S23
12月12日(金)8:30-11:30
第23会場(神戸国際会議場5階、502)
プロテオミクス研究最前線−網羅的タンパク質発現リソースからリバースプロテオミクスへの展開
オーガナイザー:五島 直樹(産業技術総合研究所)・長瀬 隆弘(かずさDNA研究所)
近年、様々な生物種の網羅的タンパク質発現リソースが整備されてきており、これを用いたプロテオームワイドな解析研究が報告されている。最近のタンパク質発現リソースの特徴は、ORF部分を簡便に研究目的に合った発現ベクターにクローニングできるように工夫されていることである。通常、精製や機能解析に有効なタンパク質やタグと融合させ、試験管内や培養細胞内でのハイスループットなタンパク質発現が可能であることから、様々なオミクスアプローチに利用されている。研究者が手軽に網羅的タンパク質発現リソースを用いた実験を行える日も遠くない現在、ある生物の全タンパク質発現クローンを手にしたときに何ができるか考え始めるときである。本シンポジウムでは、タンパク質発現リソースを用いた解析を最前線で進めている国内の研究者に、その活用方法の一端を紹介して頂き、将来の展望なども議論したい。
4S24
12月12日(金)8:30-11:30
第24会場(神戸国際会議場5階、503+504+505)
タンパク質機能発現システムーシャペロンからトランスロケータまで
オーガナイザー:田口 英樹(東京大学)・阪口 雅郎(兵庫県立大学)
細胞内のタンパク質はリボソームにて合成されてただちに機能を発現できるわけではない。細胞はタンパク質の機能発現を支えるさまざまなシステムを備えている。フォールディングを助けるシャペロン、タンパク質の細胞内交通を管制し、正しいトポロジーで配置するトランスロケータ、他にも多種多様な機能発現システムが精妙な機構で細胞内タンパク質社会の秩序を実現している。本シンポジウムでは、フォールディング、シャペロン、トランスロケータ、ベシクル輸送などの仕組みについて、最近新たにわかってきたこと、新しい手法などを紹介してもらう。In vivoタンパク質科学の新しい潮流を存分に味わってもらいたい
4S25
12月12日(金)8:30-11:30
第25会場(神戸国際展示場2号館2階、2A会議室)
精神疾患の分子統合的アプローチ
オーガナイザー:内匠 透(大阪バイオサイエンス研究所)・宮川 剛(藤田保健衛生大学)
ヒトをはじめとするゲノム計画の進展とともに、様々なヒト疾患に対する分子的理解は飛躍的に進んでいる。その中にあって、精神疾患は、従来から脳の器質的障害のないものとしてとらえられるほど、生化学的・分子生物学的アプローチのもっとも遅れた領域の一つであった。ただ、昨今のオーミクス、ゲノム、イメージング、コンピューター解析等、様々な解析手法の発展から「精神機能の分子的理解」も夢物語ではなくなり、精神疾患は、糖尿病・高血圧などの生活習慣病や癌と同様の複合疾患ととらえることが可能になってきた。本シンポジウムでは、統合失調症や自閉症を中心に、また遺伝学が使えるマウス動物モデルの観点から、さらには分子のみならず様々な観点から統合的に、精神疾患の病態解明に取り組む世界の最先端レベルの研究を紹介する。議論を通じて、(精神機能の変異としての)疾患の枠を超えた共通の生物学的問題等、研究のあらたな方向性を見いだせることを期待するものである。
4S26
12月12日(金)8:30-11:30
第26会場(神戸国際展示場2号館3階、3A会議室)
生命システムの階層間をまたぐイメージング技術
オーガナイザー:野地 博行(大阪大学)・永井 健治(北海道大学)
生命システムは、多重のサブシステムから構成されている。各システムの構成要素は、機能発現によって上位システムを支えるだけでなく、上位システムの状態に応じて自分の状態も柔軟に変化させるという特徴がある。このような階層間の相互作用のメカニズムを解明するための強力な実験的アプローチは、様々なシステムの状態や構成要素をイメージングする手法であろう。特に、システムと構成要素の状態を同時に可視化することで、階層間における相互作用を解析する研究が今後重要になってくると考えられる。本シンポジウムではタンパク質分子内部の微視的な構造変化計測から、細胞内におけるタンパク質イメージング、細胞間コミュニケーションのイメージングなど、様々な階層におけるイメージング技術とその解析手法を紹介することで、このような研究の将来像を探りたい。