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【人生100年時代を生きる】『第1回 終の住処はどこに』を観て

2018-12-14 NEW!
カテゴリ:つぶやき

 

NHKスペシャル【人生100年時代を生きる】『第1回 終の住処はどこに』…人生100年時代を迎える日本が抱える課題を見つめ、解決の糸口を探るシリーズご覧になられましたか?3年前に父を看取り、現在も母親を介護する、作家の阿川佐和子さんとともに、2日連続で放送されましたが、1回目のテーマは、お年寄りが安心して暮らすための『終(つい)の住処(すみか)』についてでした。

 

比較的安く手厚い介護が受けられる「特別養護老人ホーム(特養)」の待機者が30万人を超えるなか、国は施設の担い手を“官から民”へと転換しようとしています。その切り札として、7年前に導入されたのが、民間事業者が運営する「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」。ところが、そんな「サービス付高齢者向け住宅」では、終の住処からの退去をお願いするケースが増えているという話。

 

要介護者の数は2015年には620万人、そして2035年には960万人に増える見込みで、終の住処が大幅に不足するとみられていますが、軽度の要介護者の受け皿にしようと、国が規制緩和をし、多額の補助金を投入して整備を推し進めているにもかかわらず、現場では、様々な矛盾が吹き出していました。要介護度は低くても勝手に施設を出て徘徊してしまう“動き回る認知症高齢者”を数多く抱え、対応に追われる施設が限界を迎えると、退去をお願いするしかなくなってしまうというのです。

 

特別養護老人ホームは要介護3以上の人しか入所できず、サ高住は要介護度が低い人の受け皿として期待されていたのですが、サ高住の法律上の位置づけは住宅となっており、部屋は個室で職員が安否確認などを行っていかなくてはなりません。番組に登場していた幻覚に襲われて職員を呼び出す老人は、要介護2と、介護度は低く、本来介護の手間がかからないと思われていましたが、認知症で身体の自由が効くひとは、かえって負担が大きくなってしまうという困った状態。

 

NHKの調査では、サ高住に入居する認知症の割合が55%にものぼることが分かってきたのです。にも拘らず、国の職員配置基準は日中少なくとも1人となっており、必要と思われる人数を配置していこうとすると経営が大きく圧迫されてしまうという展開で、1人にかかる負担は信じられないほどになっており、それに伴って、そこで暮らす老人の命の危険も増してしまっているのです。サービス付き高齢者向け住宅での事故は昨年度3,334件発生し、死亡が179件だったととのこと・・・。

 

認知症の発症率を示したデータでは85歳以上の人が5割を占めていました。登場されていた先生によると「認知症の高齢者は要介護認定の結果が軽く出る傾向にある。要介護認定の結果が軽く出ると訪問ヘルパーの回数も減る」と指摘されていました。要介護度が高い高齢者を中心に受け入れているサ高住では、赤字経営から抜け出すため要介護度が高い人を集める方針を打ち出したりもしています。

 

NHKのアンケート調査でも「要介護度が低いことを理由に入居を断らざるを得ない」という声が寄せられているとか…。阿川さんは「介護難民が出てきたって感じ」とコメントしていました。要介護度が低くなると事を喜べない矛盾が起こっており、厚生労働省の方も「現場の介護者の負担、手間のかかり具合。要介護認定で反映するというのは大事だと思っている。介護給付費を検討する審議会で検討していきたい」と説明していましたが、どこまでできるやら・・・。

 

そんな中、要介護度を改善する取り組みを行っているサ高住がありました。要介護度が改善すると介護報酬は減りサ高住の収入は減ってしまうのですが、そのサ高住では1月の料金を一般的な額より3万円高く設定することで、改善策を積極的に取り入れていたのです。60室は満室になり、なんとか採算がとれているようでした。入居者で94歳の方は医師から歩くことは難しいと告げられていたが、ここでリハビリを始めて半年…短い期間なら杖を使って歩けるようにまでなったのです。

 

利用者のニーズに答えようと特色を打ち出すサ高住として、看護師の資格をもつ職員が常駐し、医療処置を行っているところがあげられていました。特別養護老人ホームと比べれば人手も少なくリスクもあるため入居を希望する人にリスクがあることを、あえて伝えるようにもしていました。

 

阿川さんは「これだけ施設が出来てくるとマンション探しと同じように、元気なうちにあちこちを見て回る」と先生から教えられたことを教えてくれました。高野准教授は「アメリカでは老人ホームの介護の質を誰にでも分かる形で公表している。日本でも情報を公的機関が収集をしてその情報提供は必要と思う」と説明されていました。

 

阿川さんは「介護する側の都合で制度をつくるのではなく、介護される側の気持ちを入念に拾っていくことをしていかないといけないと思う」とまとめられました。『年を取って豊かな生活なんて、そもそも無理。身体は自由が効かなくなり、収入もなくなり…』と厳しい現実が話されていました。

 

長生きを喜んで迎える為には【健康な体】と【生活を支えてくれる収入】や【環境】…そんな、揃って欲しい条件が数多くあります。それが全て満たされるなんてことは、なかなかないんだということを、確かに受け止めて、これからの生き方について考えなければならないのでしょうねぇ・・・

 

エンディングノートについて、以前も考えていかなければと話しましたが、シリーズ第2回では、これについても考えさせられる回となっていました。続きは、次回のブログにて・・・
 

 

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